2015年3月18日水曜日

分布の分からぬ種

最近はオオクチバスなどの国外からの外来種のほか、国内の他地域からの魚の移植(国内外来種)が問題になっている。そのため、会社にいると調査で確認された魚の中で、どの種が国内外来種なのかたずねられることが多い。
特に、魚は水系ごとに生息種が違うし、陸上生物と違って自力では水系を超えて分布を広げることができない。つまり水系内の分布が自然分布なのか、人の手による移植なのかわかってしまうので、この辺の状況にシビアなのだ。
しかし、中には外来種なのかどうなのか迷う種もあり、その代表格がアカザ。

体が赤いナマズの仲間で、別に超希少種というわけでもなく、普通に図鑑に載っている種ではある。
主要な図鑑類に掲載されているアカザの分布域は下記の通り。つまり、本州の多くの部分では表向き在来ということになりそうだ。

○宮城県・秋田県以南の本州、四国、九州(山と渓谷社日本の淡水魚改訂版・魚類検索第三版)
○宮城県阿武隈川、秋田県雄物川以南の本州と四国地方、川内川以北の九州地方(レッドデータブック2014) 

ところが、自分が10年以上の間、定期的な調査にかかわった首都圏の某水系では、ある時期を境に姿を現し、以後経年的に分布が広がっているのを確認している。それも、いるのは水系内の一河川のみ。また、多摩川などでは移植によって入ってきたという話がWikiなどにのっていたりする。

思えば利根川水系にしても、いる川といない川があって、どうにも分布が不自然な気がする。さらに、シマドジョウ漁をしているおじさんも最近になって採れるようになったといっていたし、漁協さんなどに聞いても関東では地方名を聞かない。
そんなこんなで、個人的に関東平野のものは移植個体群だと思っている。ただ、しっかりとした文献根拠はないため現状は自然分布と扱わざるを得ず、なんだか本来の分布域がわからぬままに分布が広がっている気がするのが何ともいえない。遺伝子を見ればわかるのだろうか?
誰かはっきりさせてくれないかしら。

ちなみにこの魚、レッドデータブック掲載種だが、少なくとも関東では増加傾向にある気がするなぁ。
関東に限らず、大体この3種(カジカ、シマドジョウ、アカザ)はセットな気がする。流程的にいる場所が似てるんだろうと思う。
場所によりカジカが欠けたり、アカザが欠けたりすることがあるけれど、それはそれで興味深い。

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