2012年7月8日日曜日

動画と写真

オイカワの産卵が始まった。いよいよ夏本番。
これは先週木曜日に撮影した映像である。


普段、テレビやDVDで見る映像は、伝えたい内容を明確にしたものだ。
生き物は別に人に見せるために行動しているわけではないので、どこにも明確なポイントを持たずに、全体を映すとこのとおり、どこがどうポイントなんだかわかりにくいものになってしまう。
でも、注意してみれば、オス同士の闘争や、メスに対する求愛行動、メスが産卵準備完了を示す行動、産卵行動、等々様々な行動が含まれているのがわかると思う。

自分は生物の行動をビデオを映すときは出来るだけ行動の詳細や周辺の状況がわかるようにとろうと思っているので、映像はいつもこんな感じ。鑑賞目的に美しい映像を撮ることはあまりないし、その技術もない。子供のビデオをとるときは下手くそと怒られてしまう始末だ。

そんなわけで、いつもビデオをまわしながら特徴的な行動については写真を撮っている。
今回のビデオで面白かった行動はこれ。
1個体のメスの産卵に3個体のオスが同時に放精しているシーンだ(1:58付近)。
1つのペアが産卵行動の終盤に達して、河床を掘り終わったくらいに2個体くらいのオスが一気にペアの間に割り込んできた(スニーキング)。ちなみにメスはオスの下敷きになって写っていない。
写真にすると見やすいでしょ?

我々が普段目にする情報は、様々な出来事の中から取り出された一部分だ。情報には、当然取り出した人の意志や注目ポイントが関わってくる。写真集や論文なんかはその辺が面白い面だと思う。
近年は情報化社会と言うだけあって、綺麗にまとまった情報がたくさんある。そういう情報を集めることはそれはそれで有意義なことだろう。だけど、実際に自分が見聞きした情報の中から「これは」と思う瞬間を拾い出す作業は、それ以上に面白い作業だと思う。