2010年5月7日金曜日

2010年開幕戦


ここ数年、淡水魚開幕戦はホームで3月にマルタを迎え撃つことが恒例だったが、今年は引っ越し等の個人的事情がありマルタはパスしての5月スタートとなった。
今年の開幕戦の相手はこやつ。







そう、イトウ君である。
これまで、イトウを追い求めて10年以上の猛者である知人に「連れてってくださいよぉ~」と毎年のようにお願いしていたのがようやくかなった形である。
しかし、現場の状況は最悪、例年より遅い融雪出水と前日まで降り続いた雨で川はコーヒー牛乳状態。
おまけに滞在期間はわずか2日と敗色は濃厚である。アウェーだからしゃあないかとややあきらめていたものの、そこは歴戦の猛者、増水しにくい産卵河川を適切にチョイス、私は見事に幸運に恵まれた。
いや、ほんとうに感謝しています。あんなところ一人で見つけるなんて不可能ですよ。

で、肝心の産卵行動であるが、これに関しては雌が一生懸命産卵床を掘っている横で、雄はただ見てるだけという状況を見て自分の姿を重ねてみたり、産卵の瞬間を見ながら「おおぉ次の世代をつなぐとはすばらしきことかな!」と思ってみたり・・・いつも見ているサケ科の産卵シーンと同様の思いを感じていた。そのため、ここら辺は魚の産卵を初めて見た同行者と比べるとやや感動の度合いは低かったかもしれない。

個人的におもしろかったのは、産卵行動のゆるさである。
特に、雄は他のサケ科魚類と比べても、闘争は一瞬でかたがつくし、後ろに2番手、3番手のオスがついていることはない。スニーカー(間男)も本気で「スニーキングしてやる!」なんていう気概のあるやつはいない感じだ(成功例はほとんどないらしい)。
うろうろしながら雌を探して、出会えればペアにくらいのなんだか草食系な感じがした。
そう、多回産卵(サケみたいに1回の産卵では死なない)だからなのか、なんだか「だめならまた来年でいーやー」という感じにも受け取れたのである。

なお、今回見た場所は川幅2m程度の小規模河川である。
こういう場所に来るのは産卵の時だけで、その他の時は河川の本川や場合によっては海に出る。
事実、産卵を見た前日のこの川には、ほとんどイトウはいなかった。
聞くところによるとイトウにはどうやら生まれた川に戻る母川回帰性があるらしい。
この性質は、こうした草食系集団に無理矢理にでも出会いの場を与えるためにあるのかもしれないなぁ等と思った。
ただ、裏を返せば産卵水域は小さな水域だけに改変されたり、牛馬の屎尿などで水質が変わってしまって母川回帰性が発揮できないときには、毎年「まーいっか」と産卵せずに帰って行ってしまう個体が多く、これらの個体が寿命を迎えたときにあっさり絶滅するかも・・・なんて無駄な気を回してしまったりもする。

なにはともあれ、開幕戦は大勝利でした。
あらためて知人に感謝。
そして、今年の運がこれで尽きないことを祈る。

PHOTO:OLYMPUS E-3+ZD50-200 F2.8-3.5