2008年4月28日月曜日

こいの季節でございます。


春である。 
春と言えば恋の季節・・・でもあるがコイの季節でもある。 
この時期、産卵期を迎えるコイは、水深10~20cm程度の浅場に集まり、豪快に産卵する。 
5/5にコイのぼりを上げるのは多分これと無関係ではあるまい。 

ここまで書けば、察しの良い方であればおわかりであろう。 

そう、私は近頃おきまりのカメラバックを肩にかけて家を飛び出し、近所の川にコイの産卵の撮影へと向かっのである。 
9時頃、現場に到着した。 
ひとしきり川を眺めていると・・・遠くに豪快な波紋が広がる。 
「今日は・・・動いている・・・」 
実はここ数週間、コイの産卵撮影を行うために、この場所をうろついていたのだが、これまでは撮影に至るほどの頻度で産卵が行われていなかった。それゆえに、川をちらりと見ただけで産卵が確認できた今日は、確実に「撮れる」気がして、妙に心が躍った。 
案の定、産卵はかなりの頻度で行われていた。 
コイってそれなりに警戒心が強く、うかつに奴らの視界にはいるとわりとすぐ遠ざかっていってしまう。 
ところが、産卵にのぼせ上がっている今日に限っては割と近づいても逃げない。 
「いままでの俺だと思うなよ・・・」 
愛機E-300にZD70-300をセットし、つぶやく。そう、今までは、上から眺めるだけだったのだが、今回はカメラという武器を持っているのだ。 
もちろん、コイにしてみればそんなことしったことではないのは言うまでもない。 

ひとしきり無心でシャッターを切った後、「ふう・・・」と少々満足げに小休止し、再生していままでの写真を確認する。 

「なんじゃこりゃ!」 
どの画像も手ぶれおよび被写体ブレしまくりである。 
どうやらシャッタースピードが遅すぎたらしい。 
曇天の上にPLフィルターをつけた暗いレンズ。あたりまえだがシャッタースピードは遅い。 
1/25とか1/60ではぶれるに決まっている。 
「しょうがない・・・」 
私はカメラの設定をISO400にセットした上で、その場にうつぶせになって転がり、肘を地面に固定して撮影することにした。 
その結果、散歩人に怪しげな視線を送られる小ハプニングは勃発したものの、自分なりに満足した画像を得ることができ、意気揚々と現場を後にした。 

しかし、家路につくために車に乗り込んでいやな感覚が頭をよぎる。 

思い返してみれば、撮影にあたってかみさんに「小一時間ほど撮影に行ってくるよ!」と、言い残して来たのだっった。 
気づけば3時間が経過している。 
完全に手遅れである。 
いいわけをしようか・・・、いや、ここは一つ土産でも・・・ 
財布を覗くと、200円ほどが詰まっていた。 
あまりに無力である。いいわけも、当然思い浮かばない。 
「正攻法か・・・」 
しょうがないので私は無策で帰ることにした。 
家に帰って、不自然なテンションで笑顔を振りまきながらかみさんに話しかけたのだが、しばしの間口をきいてもらえなかったのは言うまでもない。 






「撮影にあたって思ったこと」 

水しぶきを止めて写すにはシャッタースピードが最低でも1/320くらいほしい。 
また、望遠での撮影になるためにこれ以下のシャッタースピードだと手ぶれも出てくる。 
魚がよく動く、朝方や夕方などの光量が少ない時間帯を主な活動時間帯であるとするならば、今のカメラおよびレンズではどうしたってノイズが多いのを覚悟してISOを400以上に上げざるを得ない。 
それ以下だと失敗ショットが多すぎてせっかくの好機を逃してしまう。 
特に産卵の撮影では好機が一瞬なだけに痛い。 
改善するには、1)F2.8などの明るい望遠レンズを買う、2)ISO感度を高くしても画質が落ちないカメラを買う、3)手ぶれ補正つきのカメラを買う、の3つの方法があるのだが・・・どれも届かぬ夢。 
季節はずれのサンタクロースが来ることを願うしか今の私には出来ないのである。 

書いているうちに、やっぱり良いカメラが欲しいなぁと言う消化しきれない物欲のみが心に渦巻く結果となってしまった。 

出家でもしないと物欲解消は無理か。