ラベル 淡水魚:その他 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 淡水魚:その他 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2019年8月28日水曜日

ナマズ信仰に少しだけ触れてみた

地形図を見ると、阿蘇山を中心に、その周辺がボコッとへこんだ形(レモン搾り器のような形)をしている熊本県阿蘇地域。南北25km、東西18kmものカルデラ地形で、日本で2番目に大きなカルデラ地形である。また、Wikipediaによれば、カルデラの内側に安定した集落を形成し、広く農地開墾が行なわれ、国道や鉄道まで敷設されている例は、世界的にも珍しいとされているらしい。
このカルデラ内を人が生活圏として利用するようになった起源として、以下のような言い伝えがあるらしい。

「かつて、阿蘇カルデラは大きな湖だった。健磐龍命(現在の阿蘇神社の祭神)がここを開拓して農地にしようと外輪山の立野のあたりを蹴破ると、水が流れ出した。その後、水は完全には引かず、見ると大鯰が水の流れを遮っている。そこで、これを倒すと大鯰は流れ、水が引いた。しかし、この鯰の怨みにより造成した田畑では実りが悪かった。そこで、退治した鯰を、国造神社の中に鯰宮を建立して祀った。」(いろんな出典を見ましたがどれも微妙に内容が違うので、正確に知りたい人は他もあたってください。)

さて、長々と知ったような書きぶりで前段を書いてしまったが、今回出張で南九州へと行くことになり、阿蘇のナマズ信仰に触れてみようと、ゆかりの場所へ行ってみた。行ったのは、嘉島町鯰地先(流れをふさいでいたナマズが川を下って流れ着いた土地とのこと)にある鯰三神社、阿蘇市の乙姫神社、人吉市の遥拝阿蘇神社。本当は伝説の元になっている国造神社に行きたかったけれども、今回は遠いのであきらめた。
行った神社のうち、乙姫神社については見たかった鯰の像がある乙姫神社は菊池市にある別の神社であると後で知った。下調べの甘さを痛感。しかし、一度で行ける場所が限られているのは十分承知の上。国造神社のこともあるし、次の機会にはぜひ行ってみたい。

魚が祭られている神社を複数めぐるというのは、実は今回が初めてだった。基本、普通に参拝するだけなのだが、これはこれで阿蘇という地域をぐっと身近に感じられて楽しかった。魚に限らずではあろうけど、切り口があるって大事だなと思う。

鯰三神社の鳥居。熊本地震の後のためか、新しかった。ここには鯰そのもののを示すものはなかった。

人吉市の遥拝阿蘇神社。鯰の絵が掲げられている。
最近入手した本。ナマズ信仰のことが詳しく触れられている。




2015年3月30日月曜日

外来種リスト

環境省から「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト」が公表された。

位置づけが複雑なところではあるけれど、外来生物法の特定外来生物、未判定外来生物のカテゴリが変わるわけではない。どちらかというと、同法では扱いきれなかった“要注意外来生物“、およびこれまで外来種として大々的には扱われてこなかった”国内外来種“に対して国としての対処方針を定めたという意味合いが強い。

各カテゴリと魚類の選定状況を見ると、大体以下の通り。

<国外外来種について>
○定着を予防する外来種(定着予防外来種)・・・魚類は進入予防外来種5種、その他の定着予防外来種16種の合計21種(定着していない種なので、なじみがない外来種ばかり)
○総合的に対策が必要な外来種(総合対策外来種)・・・魚類は緊急対策外来種4種(チャネルキャットフィッシュ、ブルーギル、コクチバス、オオクチバス)、重点対策外来種2種(タイリクバラタナゴ、カダヤシ)、その他の総合対策外来種25種(オオタナゴ、ハクレン、カラドジョウなど)
○適切な管理が必要な産業上重要な外来種(産業管理外来種)・・・魚類3種(ニジマス、ブラウントラウト、レイクトラウト)

<国内外来種について>
○総合的に対策が必要な外来種(総合対策外来種)・・・魚類4種(琵琶湖・淀川以外のハス、東北地方などのモツゴ、九州北西部及び東海・北陸地方以東のギギ、近畿地方以東のオヤニラミ)

基本的に、これまで問題になってきた国外外来種の多くは「総合的に対策が必要な外来種(総合対策外来種)」に入っている。これは、今までどおり防除や放逐の防止などの対象に近いとらえ方なのかと思う。
特筆すべきは、ニジマス、ブラウントラウトなどの外来サケマス類と、国内移入種。
前者であるが、これらはこれまで要注意外来生物とされており、どちらかというと駆除対象に近い目で見られていた部分がある。今回のリストでは「適切な管理が必要な産業上重要な外来種(産業管理外来種)」に位置付けられている。これらの種はいずれも釣りの対象として親しまれている種であり、利用者(釣り人側)の意見もある程度汲まれたということなのだろうか。
また、国内移入種については、なぜこの4種なのかが気になるところである。ハスやギギ、オヤニラミなどは肉食だから?東北のモツゴはシナイモツゴとの交雑?いくつか理由は思い浮かぶが、ほかのものはいいの?という気もする。ゲンゴロウブナなんかは遊漁対象として今も放流されていたりするので、そういう意味で現実との妥協案というところなのだろうか?

水産業と生物多様性の保全、似ているようで微妙に方向がそれている部分があり、なんというかその辺の微妙な関係性がみられるリストに思えた。

2015年2月27日金曜日

ホームセンター内の生物多様性

ちょっと大きめのホームセンターに行くと、淡水魚が売っているペットショップが入っていることが多い。最近、会社の近くにも大きなホームセンターができ、ここにもやはりペットショップがあった。

いろいろと変わった魚が売っているらしいという話を聞いていたので、先日自分も行ってみた。で、いきなり見かけたのかこいつ。Botia kubotaiというらしい。

模様などはもちろん違うのだけれども動きはまさにアレ。
基本、野生生物は売るべきでも買うべきもでもないと思っているが、この時ばかりはやばかった。誰かに買われてしまうくらいなら、いっそ自分の手で全て…などと危険極まりない思考が頭をよぎる。まぁ手持ちのお金は1匹分にも足りなかったんですがね。

しかし、これ以外にもいろんなものが売っている。タナゴも5種ほどいたし、何より気になったのはこの貝。なんじゃこりゃ?

こんなに殻高の高い貝は見たことがない。値札はドブ貝と書いてあるけれども、日本の貝なのだろうか?

マニア向けの店なら分かるけれども、たまにこういうホームセンターで「だれがかうの?」という魚が売っている。仕入れる魚は店長が決めるのだろうか?
それとも、卸売業者が「店長ょ〜、いいのが入りましたぜ〜」的な営業に来るのだろうか。採集者から小売店までの流通が知りたい。
こちらは以前、某所のショッピングモールにて見かけたもの。




2014年11月18日火曜日

昨日に続き

昨日に続き、今度はIRを通勤中に読んでみる。
こちらは英文だし、知らない魚のことが多いので、イトヨのところだけ。
どうやらイトヨ日本海型に標準和名がついたようだ。
その名もニホンイトヨ。
14年前に撮影。照明がうつってたり、影が入ってたり微妙にぶれてたりで、あんまり美しくない写真ですが…
仕事的にこれはちょっと助かります。
これまで、東北や関東北部の河川下流域で降海型と思われるイトヨが確認されたとき、リストをもとにいつもめんどくさいやり取りがありました。
このエリアは太平洋に面しているのだけれど、生息している降海型イトヨはイトヨ日本海型。これがどうも具合が悪く、太平洋側の川でなぜに日本海型がリストに出るのかと指摘を受けることが度々ありました。
そのたびに、「イトヨには日本海型と太平洋型があります。そして、日本海型は降海型、太平洋型は降海型と陸封型の生活タイプがあります。今回は太平洋側の河川で確認された降海型の個体ですが、太平洋型の降海型は日本では北海道の東部だけで知られています。一方で、日本海型は名前では日本海型となっていますが、利根川以北の本州太平洋側にも分布しているとされています。そのため、この河川で日本海型のイトヨが確認されることには問題はありません。」という長々しい説明をせねばならなかったのでありました。

今回の和名はこうした違和感をなくすという意味ではとても助かるなぁ~。と思った次第でありました。

2014年11月17日月曜日

今号は興味深く

昨日から腹を下し気味。
今日も腹がずっとゴロゴロいっている。
それにしても屁って不思議だなぁ。
気体は液体よりも軽いはずなのに何で尻から出るんだろうか?
げっぷならすんなりわかるんだけど。
腸の中に気体逆流防止弁でもついているんだろうか?

それはともかく、昨日最新の魚類学雑誌が届き、通勤中に電車の中で読んでみた。
今号はアユモはもちろん、カワムツ、アブラボテ、シマヒレヨシ、サケなど顔なじみのネタが多く、さらには個体の撮影法や魚類検索第三版の書評があって最初から最後まで興味深い内容が詰まっていました。
特に興味があったのがアブラボテの論文。
愛媛の個体群はどうやら九州からの移入個体群のようなのだが、在来のヤリタナゴとの交雑が進んでいる場所が見られたり、ところにより置き換わっているそうな。
ヤリタナゴとアブラボテの両者が自然分布するところの中には、すみ分けている場所もあるようだけれど、明らかに同所的にいる場所もある。
同所的にいる場合、繁殖期の成魚の群れは、一応ヤリタナゴとアブラボテで分かれているように見えるし、交雑個体(ヤリボテ)を見る確率もそれほど高くない気がする。つまり、それなりに種間の認識は働いているように見えるので、単純に両者を一緒にしてもそう簡単に交雑するとも思えない。認識力が低下する条件がなにがしかあるだろうのか?ううむ。興味深い。

全然関係ないけど、レッドデータブック2014、貝類が一番分厚いのね。
意外。

2013年7月7日日曜日

週末も川にいました。

土曜日に娘の同級生二人が来訪してきた。
娘が学校で何を話しているのか、うちに来れば川に連れて行ってもらえると思ったとのこと。
川に行くために2週間前から親に陳情し、宿題を終わらせ、ようやく了解を取ってきたのだと訴えるではないか。

そこまで言われて期待を裏切るわけにもいかないので、昼は天然ウナギの鰻丼を与え、食った後に子供でも魚がとりやすい川をチョイスして連れて行った。
結果、フナ、シマドジョウ、ナマズ、ギバチなど10種くらいの魚が採れ、かなり楽しんで帰って行ったと思う。

が、後に彼らが家から了承を得ていなかったことが判明。
ううむ、私は近所の悪役になってしまった可能性が高いなぁ・・・
次回から彼らには、「家族に魚採りに行ったことを悟られない方法」をレクチャーせねば。


2013年4月15日月曜日

像の見え方



先週末は、家から車で30分、利根川を挟んでお隣の群馬県邑楽郡板倉町は雷電神社へ参拝に行ってきました。
お目当ての一つはこれ、撫でると地震を除けて自信が湧き出る「なまずさん」への参拝です。
どうです?淡水魚好きには外せないでしょう。



しっかし、素晴らしい造形でした。この恨めしげな目が、私の日頃の行いを見透かしているようで少々「ごめんなさい」という思いに駆られてしまいました。
それにしても、この目、はえ縄にかかったナマズとそっくりだなぁ。

なお、神社ではナマズ関連のお守りがいくつか売っています。
私も当然スルーなどできず、こちらのお守りを購入しました(600円)。



また、神社の社殿には素晴らしい彫刻が施されています。
彫刻は、ウナギを捕る子供達の様子や水の上に構える竜など、川とのつながりの深さを感じさせる物が多いです。
正確なところは分かりませんが、利根川沿いの町であることを反映し、川から得る恩恵や、逆に川からもたらされる災害への畏れなどが表現されているように思われます。



そしてもう一つのお目当てがこれ。実はこの神社の前にはナマズ料理をメインにした川魚料理屋さんがあります。
ここでは、ナマズの天ぷら(1枚300円)や、ナマズのたたきあげ(ナマズのすり身を揚げた物:1個50円)を持ち帰りで購入することができます。



最後に、駐車場の脇にある仲良しな童子童女の像に参拝。
結婚前に見てもきっとたいして感じるものはなかったのかと思う。
しかし、今見るとうちのちび達(娘と息子)がじゃれている様子に重なって実に響いた。
こういう仏像などの抽象的な造形は、見る物の心次第で感じ方が大きく変わることを改めて実感した。



これまで書いてきたように結構いろいろと見るものがあり、この神社はおすすめです。
ちなみに隣に板倉中央公園という公園があります。
ここには、簡易のアスレチックがあって子供も遊べます。
人も少ないのでお子様連れの方も是非どうぞ。



大きな地図で見る

2012年12月16日日曜日

フィールド人たるもの

日曜の朝は唯一の自分の時間。
早起きしてサケに挑んだ。
が、結果は失敗。産卵まであと数時間はある感じだった。午後までかかるようだと家庭的に差し支えるので、あっさりあきらめる。

ま、フィールド出て当たりはずれをぐだぐだ言ってもしょうがない。人に見せるためのアトラクションでもないので、あたる確率を上げることは出来ても、絶対外れないことなんてないしね。

ダメなときはダメで、見たいものがあるならまた来ればいいだけだ。




写真はオイカワの越冬集団。

サケの産卵場となる伏流水の出る環境は、他の魚には別の形で利用されている。

2012年8月5日日曜日

ムスメ、シュノーケリングデビュー

週末は都幾川にてムスメがシュノーケリングデビューを果たした。
都幾川は私的に埼玉一の名川だと思っている。堀込みと横断工作物でイマイチな川が多い埼玉県にあって、透明度、魚の多さ、川への近寄りやすさ、どれをとってもダントツである。

初めて見る川の中にムスメも感動してくれたようだ。楽しすぎたのか、なかなかあがろうとしない。普段ウェットスーツでぬくぬくとしている私は10分程度で体がすっかりと冷え、ムスメよりだいぶ早くあがって陸上から見ていることにした。しばらくすると、下流からきた少年が同じ場所を潜りだした。彼も水中を見てものすごく感動したようだ。その感動を近くにいたお母さんに報告し始めた。

~少年と母親の会話~
少年「お母さん!すごいよ水の中お魚がいっぱい!」
母親「へー、そうなんだー」
少年「見て見てよ!本当にすごいんだからっ!」
母親「それくらいお母さんにもみえてるって。」

少年は説得は無理と思ったのか、ちょっと不服そうに再び潜りだした。無理もない。みたところお母さんは普段着で潜れる格好はしていない。大人には日焼けがだめとか、水にぬれるとめんどくさいとか、人目が気になるとか、いろいろと事情があるのだ。

実際に目にした感動を、見ていない人に伝えるのは結構難しい。感動したまんまのハイテンションで他の人(主にかみさん)に話して、冷静な対応をとられるとしょんぼりする。それを繰り返すうちに、「うっひっひ、この光景、自分だけの独り占めだぜ!」と思って自分だけで消化できるようになる。少年よ、その域まで達すれば楽になるぞ・・

とも思ったが、今回はムスメに楽しみをわかってもらえた。感動の共有はやっぱりうれしいもんだ。実際に見てもらえばわりとわかってもらえるものなのかな。
埼玉在住の方、是非とも都幾川に潜ってみてくださいな。いい場所教えまっせ。





2012年7月27日金曜日

夏の魚

一般的に思い浮かべられる夏を代表する淡水魚ってなんだろう。
土曜の丑のウナギかな、はたまた渓流釣りのイワナとかヤマメか、友釣りが最盛期を迎えるアユなんかなんだろうか。

雑魚好き、そして繁殖行動マニアとしては、夏の魚といえば繁殖最盛期であるオイカワとかヌマムツだと思っている・・・のですが、やっぱりいいですね夏の渓流、そしてイワナは。
光の強さのおかげで水中が明るく、とても魚が映える。
産卵期でも何でもないけどね。





でも、魚自身が最高に輝くのはやっぱり産卵期だとは思うけどね(つよがり)。

2012年6月10日日曜日

タモ網デビュー

先週の話だが、息子がうちから徒歩2~3分ほどの距離にある田んぼ周りでタモ網デビューした。


網がでっかい!

お姉ちゃんと近所のお兄ちゃんと一緒にひとしきりがさがさとやり、息子もなんとかアメリカザリガニをゲット。

このほかにも、ドジョウ、メダカ、モツゴを捕獲。


自分では魚はとれなかったけど、バケツに入ったメダカを捕まえてご満悦でした。

最初は泥の中でこけて、「泥だらけになっちゃった~」と、後にかみさんに怒られることを予測したような発言をしていたが、その後開き直り泥んこになって遊び回っていた。

しかし、かみさんに怒られる結果だけは変わらず。なお、私も当然怒られた。


うちのまわりはメダカがいるだけあって、そこそこ水田周辺の生き物にとって良い環境が残っている。
自然環境に関する仕事に携わって10年以上になるが、恥ずかしながら未だに「保全ってなんのためにするの?」と聞かれて返答に困る。一般論ではいろんな理由があるけれども、その中には胸を張ってそのためだ!と答えられるものがない。
そんな中で私がひねり出した回答の一つは、「人間社会のスピードとは別に、ゆっくり時間が流れる場所があってほしいから」というものだ。人間社会の作り出した物の多くは短時間で新しい物に取って代わられる。子供たちが大きくなったとき、自分の今持っている物や知識の多くは使い物にならないだろう。そんな中で、自然環境だけは大きな変化をせず、そこにあって、世代を超えた共通の話題であって欲しいなぁと思うのである。
要するに、自分がじいさんになったとき、孫に「メダカがどこで捕れるのか教えてぇ~」とねだられた時、「フム、公民館の裏の水路をのぞいてみなさい」と答え、その後「じいちゃん捕れたよ!やっぱじいちゃんすごいなぁ~」と尊敬されたいのである。
これって答えになってるのかなぁ。

2012年5月26日土曜日

オホホ

水郷潮来 あやめ祭りのクライマックス「宵の嫁入り舟」

川舟での結婚式なんて最高じゃないか!
来世が女性だったら、絶対にこれにするわよ!(アレッ!?)

とはいえ、別にこれを見にここに来たわけではない。
今日も明日も現場である。
ホテルにはそれっぽい浴衣もあったが、あえて作業着で見に行った。
ワイルドかな?




2009年10月13日火曜日

魚類学会の公開シンポジウム「国内外来魚問題の現状と課題」を聞いて

魚類学会の公開シンポジウム「国内外来魚問題の現状と課題」を聞いてきた。 
で、覚え書きのような雑感と与太話。 

個人的にこのシンポで知りたかったことは、1)漁業組合が義務づけられている放流で入ってくる国内外来種をどう扱うか?、2)一般市民がおこなう放流で広がる国内外来種をどうすべきか?、3)根本的に入ってきてしまった移入種は在来種および個体群にどういう影響があるのか?、4)既にいる国外外来種はどうすんのか?、という4つである。 
なにせ6時間にもわたるシンポジウムなので、どの話題も多かれ少なかれ議論されたのであるが、いずれも各論としては面白い話は聞けたものの総論としてばっちりと合点がいく答えは得られなかったように思う。 

とりわけ気になったのは2)の話題である。 
これは、かいつまんで説明すると、近所の川に「魚よ戻れ」と、購入してきたり捕まえてきた他の川のメダカやコイ、釣りの対象種などをはなす、あるいは飼育しきれなくなった魚を殺すのは「かわいそうだから川に戻してやりましょう」と放流することによって、本来の生息地ではない場所にいろいろな魚が広がっていってしまうというものである。こうした放流は「環境のため」、「お魚のため」という気持ちから行われるため、「善意の放流」と呼ばれている。 
しかしながら、たとえ善意からうまれる放流であっても、本来の生息地ではない場所に放流することにより、元々いた種が競争によって排除されたり、交雑によって元々いた種が持っていた固有の遺伝情報が損なわれたりする、といった問題が生じるため、厳に慎むべきであるというお話である。 

ここで問題なのは、放流するのは魚類の知識に富んだ人ではないということである。すくなからず野生生物の知識がある人間であれば、以上の理屈は納得がいく人が大半であろう。しかしながらこの問題の本質は放流する人間が一般市民であり、彼らの目的は「地域固有の在来種や遺伝資源を守る」ことではなく、あくまで「その川に魚が住むこと」であったり、「生き物を殺さずに自然に戻してやる」事なのである。シンポジウムの公開討論ではそういう人たちに「理屈を話して理解してもらって慎んでもらう」というところで収まった(?)が、はたしてそんなことは可能であろうか? 
個人的には、「地域固有の在来種や遺伝資源を守る」ということには、一般の人々にとって「魚の住む川を取り戻したい」とか「今、目の前にいる魚を自然でのびのびと暮らさせてやりたい」という動機に対して、その意志を覆させることが出来るほどわかりやすい内容ではないように感じる。なぜなら、「地域固有の在来種や遺伝資源を守る」すなわち「遺伝的多様性を保全する」ことが「人にとって」どういう意味を持つのか、なぜそれをせねばならないのか、そこを明確かつ簡潔に説明することはどうしたって難しいのだから・・・。多様な系の方が安定するとか、多様であれば病気などの不慮の事態にも対応できるとか、何百万年もの進化の過程が刻まれているとか、いろいろと説明はあると思うのだが、どれも目に見えないし、実証は困難である。どんなに理屈を言っても、目に見えるものと見えぬ物では見える方が力を持つ。 

本気でこの問題のこれ以上の拡大を防止するには、それこそ外来生物法で移動を規制したように、国内種についても法規制をかけるしかないかと思ってしまう(たとえば動力付きの乗り物で輸送するのはダメとかわかりやすく)。この問題の発端は遠くの水域の魚であっても簡単に買えたり、もってくることができるようになった事にあるのは多分間違いない。で、あるからしてその流れを止めようと思ったら、「それが出来なくなるようにする」というのが一番の近道であろう。別にこの問題に限らず、基本的には物量や金に頼らず、なんでも身の周りの物で何とかしてみようという心がけは環境問題全般にとって重要な発想だと思うのだが此如何に? 

各論だけど、オイカワの在来分布域が那珂川が北限かもという話は面白かった。