2015年3月30日月曜日

外来種リスト

環境省から「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト」が公表された。

位置づけが複雑なところではあるけれど、外来生物法の特定外来生物、未判定外来生物のカテゴリが変わるわけではない。どちらかというと、同法では扱いきれなかった“要注意外来生物“、およびこれまで外来種として大々的には扱われてこなかった”国内外来種“に対して国としての対処方針を定めたという意味合いが強い。

各カテゴリと魚類の選定状況を見ると、大体以下の通り。

<国外外来種について>
○定着を予防する外来種(定着予防外来種)・・・魚類は進入予防外来種5種、その他の定着予防外来種16種の合計21種(定着していない種なので、なじみがない外来種ばかり)
○総合的に対策が必要な外来種(総合対策外来種)・・・魚類は緊急対策外来種4種(チャネルキャットフィッシュ、ブルーギル、コクチバス、オオクチバス)、重点対策外来種2種(タイリクバラタナゴ、カダヤシ)、その他の総合対策外来種25種(オオタナゴ、ハクレン、カラドジョウなど)
○適切な管理が必要な産業上重要な外来種(産業管理外来種)・・・魚類3種(ニジマス、ブラウントラウト、レイクトラウト)

<国内外来種について>
○総合的に対策が必要な外来種(総合対策外来種)・・・魚類4種(琵琶湖・淀川以外のハス、東北地方などのモツゴ、九州北西部及び東海・北陸地方以東のギギ、近畿地方以東のオヤニラミ)

基本的に、これまで問題になってきた国外外来種の多くは「総合的に対策が必要な外来種(総合対策外来種)」に入っている。これは、今までどおり防除や放逐の防止などの対象に近いとらえ方なのかと思う。
特筆すべきは、ニジマス、ブラウントラウトなどの外来サケマス類と、国内移入種。
前者であるが、これらはこれまで要注意外来生物とされており、どちらかというと駆除対象に近い目で見られていた部分がある。今回のリストでは「適切な管理が必要な産業上重要な外来種(産業管理外来種)」に位置付けられている。これらの種はいずれも釣りの対象として親しまれている種であり、利用者(釣り人側)の意見もある程度汲まれたということなのだろうか。
また、国内移入種については、なぜこの4種なのかが気になるところである。ハスやギギ、オヤニラミなどは肉食だから?東北のモツゴはシナイモツゴとの交雑?いくつか理由は思い浮かぶが、ほかのものはいいの?という気もする。ゲンゴロウブナなんかは遊漁対象として今も放流されていたりするので、そういう意味で現実との妥協案というところなのだろうか?

水産業と生物多様性の保全、似ているようで微妙に方向がそれている部分があり、なんというかその辺の微妙な関係性がみられるリストに思えた。

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