2016年10月14日金曜日

魚の見え方


先週、今週と続けてヌマガレイに出会う。
本州だと関東以北の河口域で多い。
改めて手にするとこの魚、とてもいい。から揚げにしても旨そうだし、飼育しても愛嬌があって楽しそうだ。水中で見るとそんなこと思わないんだけどな。
魚ってやつは水から上げると見え方が変わる。


ムンバイ湾のマッドスキッパー 4

インドのマッドスキッパーについて調べてみると、どうもムツゴロウ属2種(Boleophthalmus boddartiとB. dussumieri)、それからトカゲハゼ(Scartelaos histophorus)に加えて、Periophthalmus variablisやPeriophthalmodon schlosserなどの肉食のマッドスキッパーもいるようだ。

ムンバイの干潟に通うこと3週間、いつもどおり干潟を眺めていると、岸近くに日本でも見慣れたトビハゼに似た顔のマッドスキッパーを見かける。
捕まえたわけではないので違うかもしれないが、消去法でいくとトビハゼ属のPeriophthalmus variablisではないかと思う。
後にも先にもこのハゼを見たのはこの日の2個体のみ。
干潮時に完全に干上がる場所の石の下や穴の中にいて、時折離れた水溜りまで歩いていって水浴びして帰ってきていた。
おそらくムンバイ湾での数は少ないと思う。


Periophthalmus variablis?

水溜りで転がって泥だらけになって巣に帰ってくるところ。


2016年10月12日水曜日

はじめてのゴリ料理


富山には仕事でよくいくのだが、金沢に行くのは今年の夏がはじめてだった。
金沢といえばゴリ料理、ということで仕事後の飯が楽しみでならなかった。
ちなみに金沢で言うところのゴリはカジカ類のことである。
しかし事前に店をリサーチするも、案外店は多くない。イメージが先行しすぎたか。

さて、リサーチによってセレクトしたお店で出してくれたゴリ料理がこちら。
刺身とから揚げである。
から揚げはこれまでも食べてきたから当然うまいのは想像がついていた。
一方の刺身、こちらは初めて。
いやー、カジカって魚はどうやっても美味いものですな。
海魚に引けをとらない味でありました。

ゴリ刺し
ゴリのから揚げ

しかし、この刺身、写真のとおり一尾から四切れしか取れない。
刺身だと保存も利かないし、郷土料理としてはあまりに非効率な料理に思える。おまけに金沢は海が近く、あえて小さなカジカをあれこれして食べる理由があるのだろうかとも思える。
北陸の河川では、カジカの類が多い。
下流ではカジカ中卵型、カマキリ、カンキョウカジカ、上流ではカジカもいる。
石川県は良くわからないが、同じ北陸の富山県は生息量的にも本州太平洋側の河川に比べると体感的に多いと感じる。
ちょこっと調べると、金沢でゴリ料理が盛んだったのは犀川周辺とのこと。思うに、かつて犀川にはカジカ中卵型やカマキリが海魚を取るよりも楽なほど大量に遡上していたのではないかと察する。
そして、刺身というのはもともとカジカが対象だったのではなく、大型のカマキリが素材だったのではないかと妄想してみる。
ああ、カマキリの刺身食べたくなってきた。

鮎の魚醤(原次郎左衛門)


埼玉でも寒いと感じていた今日この頃、青森まで来ると夜の気温は一桁。
たまらん。

さて、青森への出発前に会社で大分に行っていた先輩から原次郎左衛門というところの鮎の魚醤をいただいた。
もう本当に心から感謝です。ありがとうございます。

移動中、辛抱たまらなくなって高速SAでカツ丼の白米にかけてみた。
うっすら鮎の風味を感じるくらいで、とても上品な味わいである。
単体で十分な存在感がある岐阜の川原町泉屋の鮎醤(あゆびしお)とはまったく異なる。おんなじ魚の魚醤でも作り方でだいぶ違うんだなぁ。
こちらは主役というよりも、隠し味で活躍するタイプのようだ。
全ては使い方次第。さて…私に使いこなせるだろうか?


2016年10月10日月曜日

ドジョウのナレズシ

岩波新書の「寿司の歴史を訪ねる」で存在は知っていたが、まさか実際に食せるとは思っていなかった。滋賀県栗東市の三輪神社の神饌として作られる「ドジョウのナレズシ」。

お師匠からおすそ分けを送っていただいたのがインドから帰って2日目のこと。
5mmほど切って食べてみると、カレーボケが吹き飛んだ。
この手の味の深みはあちらにはない。

茶漬けにして尚良し。
全体的な旨味は鮒鮨に似るが、匂いは鮒鮨ど強くない。
なれずしに蓼がまぶしてあるというのはほかに見たことがない。
この蓼が、発酵した魚に独特の爽やかさを加えており、一般にはこちらの方が受けるんじゃないだろうかと思った。
とにかく、美味しゅうございました。

蓼がまぶしてあり、ぱっと見どこにドジョウがどのような姿をしているのかは不明である…
5㎜程の切り身。少量だが、これで茶漬けとしては十分な味がある。それほど味は濃い。

インドのでの飯は…


言わずもがな、基本的にカレーだった。
行ってつくづく感じたのは、日本のインドカレー屋さんはものすごく上等なものを出してくれているんだなということだ。
ムンバイのカレー屋だってナンはあるけれど、日本のインドカレー屋みたいに厚くふっくらしていない。
また、想像通り辛く、油が多い。そして量も多い。不味いわけではないのだが、毎日はきつかった。

写真はVashi駅前屋台で常食していたDal Fryという豆を原料とするカレー。辛さは控えめで食べやすかった。

Vashi駅前屋台

屋台のガーリックナンとDal Fry

2016年10月9日日曜日

ムンバイ湾のマッドスキッパー 3

ムンバイ湾の干潟で先述のムツゴロウ属の2を眺めること2日、水たまりの中になんだか小さな個体がいるのに気づく。  
2種どちらかの幼魚か?
とも思ったが、それにしてはなんだか背鰭が長い。存在に気づいて注視するも、双眼鏡で見ても距離が遠く、そのうち潮が満ちてきて結局何者かはうやむやで帰った。 

数日後、今度は別のポイントの水たまりで同じような背鰭の長いハゼを見かける。距離的に近い場所で見られたこともあり、今度は体もちゃんと見えた。 
これって…トカゲハゼ(Scartelaos histophorus)じゃないか! 

トカゲハゼは日本国内にもいるが、沖縄本島の大浦湾、中城湾のみに分布する絶滅危惧ⅠAにランクされている種。当然見たことはなかった。 
まさかここで?という感じだった。 

体はムツゴロウ属に比べて細長い。背鰭が細長く、濡れるとアンテナのように見えた。2種のムツゴロウ属と同様に干潟にいるが、主に干潟が干出しても残る水たまりの中におり、泥面に出ている時間は短かった。気づくとあちこちの水たまりにおり、ムンバイ湾での生息数はそれなりに多いと思う。

トカゲハゼ(Scartelaos histophorus)
 デジスコなんで画は甘いっす…