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2019年9月15日日曜日

知床まで来てカラフトを

初日の写真だけで済ませるわけにはいかない。
そんな思いで、早起きしてラウス側の川へ。
クマに怯えながらひとしきり川を歩くが、昨日同様カラフトの姿はまばらで、とても撮影できる状況ではない。早々にラウス側での撮影を断念する。
しかし、ラウス側の川は水がきれいだが、川底が露岩している場所が多く、産卵適地が少ない。と、いうか知床、砂防ダム多すぎだ。そりゃ世界遺産としてどうかとIUCNも言うよね。下流に人が住んでいるところはともかく、集落もないところは撤去でいいんじゃないかと外野ながら思う。撤去も雇用を生むし。
なにより、現状は全部の川に複数基のダムがある状況。スリット化もいいのだが、一つくらいダムのない川が見てみたい。
どの川も、河口から歩ける範囲でわりとすぐ砂防ダムにあたる。
そんなこんなでラウスを後にして、知床峠を超えてウトロ側へ向かう。
車で走ること一時間弱、10年前の撮影場所、遠根別川に到着した。すると、何だこりゃ。河口はサーモンフィッシングでとんでもない人の数である。とても潜って撮影どころではない。斜里で行ったホームセンターの1/5くらいのスペースが釣り具売り場となっていたが、そういうことか。
遠音別川河口の釣り人 駐車場は車でいっぱい。


ホームセンターではこんな段ボールも売っている。


取り急ぎ、川にカメラを突っ込んで数枚写真を撮ってみる。ここのカラフトはまだ産卵前だけあって傷がなく綺麗だ。

遠音別川を遡上中のサケとカラフトマス 上にはサケマス孵化場がある。

川を遡っているサケ科魚類はサケとカラフトマスで大体2:1くらいだった。もう秋もだいぶ中盤に差し掛かっているといえそうだ。

その後、初日の川へ戻る。
うむ、濁りは取れている。
相変わらず産卵ほぼ終了のガードメスばかりの状況だが、ガードメス横で張ってふらふらとオスが来た時にペア写真を撮ることにした。
少々辛抱を要したが、一応ペアの写真は撮れた。ちなみにこのオスはメスの後ろについて十秒後には追い払われていた。まぁ、今時期にしては上出来かと納得して撮影終了。いつかはカラフトの放卵放精までちゃんと撮りたいな。

カラフトマスのペア
十秒後、オスは追い払われる。
カラフトの撮影を終えて14時過ぎ。微妙な時間になった。
迷った末、初日にサクラを見た場所に戻る。
雨後2日目、もうここでは産卵行動をとる個体は確認されなかった。
よくよく見ると、産卵床を掘っていたメスが産卵床をガードしていた。ヘロヘロで逃げる感じもなく、ここ2日で人(魚?)生の大仕事をやり遂げた感がにじみ出ていた。
初日見たサクラマス。産卵床をガードしていた。
サクラを見てから少し時間が余ったので、斜里に戻り知床博物館へ。
斜里川のイトウ、あれだけ大きな川でメス親魚10個体程度かぁ…現状、生き残っただけ良しとする世界ですな。そして、これを見つけ出した人もすごいな。

館内は、自然半分、文化半分的な展示であった。個人的にはアイヌの暮らしに惹かれた。厳寒のこの地での生活の知恵と技術は、ある意味では現代の科学技術よりもすごいかもしれない。

日没前、まだまだチャンスはある。と、いうことで斜里川河口へ。
河口では遡上直前のサケが跳ねていた。
カモメがたまにサケを陸上にひきずりあげて食べている。
別に大した写真が撮れるわけではないが、単純にサケが跳ねた瞬間が写真に写ると嬉しい。
斜里川河口ではサケが跳ねてました。
カモメが急に飛び立った。と、思ったら奥に猛禽のシルエット。オジロワシかな。

日没コールド後、道の駅斜里の横のお土産屋で昆布と鮭とば、カラフトマスのとばを買って、初日に飯を食った”しれとこキッチン熊湖”でサクラマス定食を再び食べる。いまさらながら、サクラマス味噌漬焼き定食にしておけばよかったと後悔している。
お土産屋さんで見かけたサクラマス。一本1000円。安くないか?

左が鮭とば、右がカラフトマスのとば 味わいはだいぶ違う。ちなみに、鮭とばも普通に売っている鮭とばとは違い、薄切りでチップス状になっている。


しかし、今回の食事はほぼ、コンビニおにぎりとサクラマスだった気がする。
三振かホームランか。元近鉄のブライアントのような四日間の食だった。

おしまい。

2019年9月12日木曜日

朝から

川へ。
狙いはサクラ。
現場に着くと、産卵床造成中のメスを発見した
昨日の雨がトリガーになっていた模様だ。
今日も小雨が降る曇り模様で、水上からの撮影だと光量が十分に取れない。とはいえ、見たところ産卵床の堀始めのようで、ここで散らすと帰ってこない可能性が高く、水中撮影も無理そうだ。
しかたがないので、感度をあげての水上撮影に取り組むことにした。
ISO1600でもSSが1/60程度なので、今ひとつ画がぱちっとこないのだが、まぁ、ペアが抑えられたので良しとする。放卵放精は夕方か明日かなぁ。
サクラマスは産卵行動中に水上に出てうっすら水をかぶっている時の色味が美しい。
残念ながらつかまえてもこの感じは見られない。産卵行動をしている最中にしか見られないこの色味は、日本に生息するサケ科魚類の中で一番きれいだと思う。
放卵放精まで見たい気持ちはあるが、まるまる一日をここで潰しても見られる保証もないので、午後には移動する。
確認したペア

産卵床造成中のメス
 移動がてらサクラマスのルイベ漬け丼なるものを食う。ついさっきまで、美しいとか思っていたにもかかわらず…。
食べてみると、やはり美味い。やはりサケと比べると、サーモン感がほんのりとして上品だ。
味も含めて美しい。ということにしよう。
サクラマスのルイベ漬け丼
食い終わったら半島方面へ移動。
狙いはカラフト。10年前の朝に出撃した場所だ。
10年前の駐車場所がそのままあるか不安であったが、変わらずそのままだった。
産卵場も大きな変化はなかった。
しかし、上から見た感じでは既に産卵済み。適地に所せましとつくられた産卵床それぞれにガードメスがついている状態。
数尾のオスがふらふらとメスに近寄っていくが、「私、もうそういう気分にはなれないの!」とばかりに、どれもメスに追われていく。うーむ。カラフトは8月後半に来ないとだめだなぁ。
ここでは水中撮影を敢行。雨のせいか透明度が今一つだが、ボロボロのガードメスとメス同士の排他行動をひとしきり映して終了。
 
産卵床にガードメスがついている状態。一尾だけオスがふらふらしている。
産卵床ガード中のメス かなりボロボロになっている。
メス同士の排他行動。ガードメスが何かの拍子に他のメスの産卵床に近づくとこうなる。産卵後期の個体の尾がボロボロなのは、産卵床を掘ることもそうだが、他個体から噛みつかれているのも結構な要因なのかもしれない。
 続いて、知床ビジターセンターへ。
ここからが今日のメインイベント、Hucho氏との再会。
前に会ったのが吉川でナマズを食べた時だから…2年前くらいだろうか。
今回彼から聞いた話は、私が持って行った埼玉土産十万石饅頭”では明らかに不釣り合いな話だった。
イトウに惚れて北海道へ来てから20年以上、地道に川を歩き、データをとり、人と接してきた彼の活動は、ここへきて地方行政を動かし、保全と活用の両立という形で昇華しようとしているとのこと。
頂いたパンフレット これまたデザインと写真が秀逸である。
 イトウという見る人が見れば憧れそのもののような魚を、これまで存在すら意識しなかった地域の人(あるいは逆に無秩序に利用している人)に魅力を伝えて誇りとしてもらう。その上で、自身でフィールドを歩き産卵河川の把握、現存個体数の把握を行い、科学的根拠のあるワイズユースを目指す。彼が語るその過程は、一つの伝記を読んでいるようであった。
生物屋が一般の人に野生生物の地域資源としての魅力を伝え、人を巻き込み、現場経験をもとに考えてきた保全と利用の最適な形へすり合わせていく。日頃、行政側で決めた事業を円滑にまわすためのデータ取りに専念せざるを得ない身としては、着想~実際の運営まで技術者主導で行うなど、こんなに痛快な話はない。
これまで蓄積してきた知識と経験から導き出した答えを、実社会で実現すること。これこそ自分も目指すべき方向だ。本当にいい話を聞きましたよ。
実に価値ある一日だった。

おしまい。

2013年9月19日木曜日

【観察情報】世界自然遺産:知床にカラフトマス遡上

世界自然遺産:知床にカラフトマス遡上



カラフトマス自体は8月から遡上してますが、どうやら今がピークのようですね。
秋に産卵を迎えるサケマスの中にあって、先陣を切って遡上してくる種類です。
川を埋め尽くすほど遡上する姿は、私も一度見たことがありますが、まさしく圧巻。
この時期の知床の川はこの魚で渋滞しています。



(写真2009年8月に撮影)

知床が世界遺産になった理由の一つに、川を遡上するサケ・マス類とそれを通じたエネルギー循環(普段は川から海へ一方的にエネルギーが流れていくだけだけれども、秋には彼らを通じて海から川へとエネルギーが運ばれ、森林生態系の栄養源となる)も、大きな要素だったように思います。

サケ・マス類を食べたことがない人はほとんどいないと思いますが、その遡上する姿を見たことがある人はそう多くはないでしょう。
自分が口に入れているものが、実際はどのように生きているのか。
知っておくのも良いかと思いますよ。
たぶん、相当に感動します。