そして、蛇行部にできた淵の下流の浅場には、2m×2mくらいはあろうかと言う巨大な窪みが形成されていた。イトウの産卵床だ。
産卵期も終盤なのだろうか、踏査をした3kmほどの区間の蛇行部には全てと言っていいほど産卵床があった。
一方、産卵行動中のペアはと言えば、最初に発見したもののほか、もう一組だけ。
こちらはちょっと藪の中を分け入らねばならず、観察には骨が折れる位置にあった。そのため、最初の場所に戻り、行動観察を続けることにした。
ところが、最初の場所に戻ると、そこはもうもぬけの空。
ペアはどこにも見当たらない。
「さっき見たときに邪魔したか!?」
そんないやな思いが頭をよぎった。
しかし、ここでめげるわけには行かない。
先ほど見つけたもう一組のペアのほうへと向かった。