2020年5月27日水曜日

鮭の飯寿司

「村上って何が有名なんですか?」
ここ数年、新潟県、とりわけ新発田~村上までの範囲の現場が多い。
調査の内容はいつもどおり河川の調査であるわけなのだが、今回は人の都合で普段は猛禽調査を担当としている後輩と来ることになった。このエリアに来ることはめったにないらしく、食をメインにいろいろと興味ありげだ。

「あぁ、この辺りはサケが有名だね。」
私はといえば、このエリアには何回も来ているし、なによりこのところあまりいい出来事がなく、どうも気分が上がらない。返答も少々投げやり気味だった気がする。
どうにも気分の差は感じるが、後輩の気分まで下げるのは良くない。とりあえず、なにかそれっぽいものを食べたそうだったので、着いた日の夕食は宿泊地近くの寿司屋で越後寿司丼なるものを食す。1650円也。通常、現場の食事をスーパーで納める私的には、ほぼ3食分の値段である。
美味かった。確かにうまかった。寿司丼にかけるカナガシラの魚醤も独特である。が、この魚醤の塩味がやや尖っていたように感じたのは、気持ちの問題なのか、実際にそうなのかは今一つ判断がつかない。
越後寿司丼(角力軒さん:全県的な取り組みだったのね…)

さて、彼の欲求は越後寿司丼でとどまることはなかった。
翌日の調査は昼頃に終わった。
昼食は前日のスーパーで仕入れていたはずだが、「昼飯どうします?」の質問に、それを感じ取る。こうなっては仕方があるまい。
村上の市街地へ向かうことにした。

とりあえず、「きっかわ」さんの「酒びたし」用に大量のサケが干してある場所を案内する。干し鮭の壮観な眺めや、ずらりと並んだサケの加工品を前に、だいぶ満足した様子がうかがえる。まぁ、ここは鉄板ですわな(昼飯そのものは財布が苦しいので、市街のラーメン屋にしたが…)。
私は何度か来ているので、もう少し他のところを見てみたくなり、違う店をぶらぶらしていると、変わった飯寿司を見かける。
きっかわさんの店奥に干されたサケ、圧巻


「む…サケが生?」
そう、これまで飯寿司は何度か食べているが、どれも塩鮭を使っているのか、干鮭を使っているのか、いずれにせよ鮭の身がしっかりとしていた。しかし、「うおや」さんの飯寿司の鮭は、いわゆるお寿司のサーモンのように柔らかそうではないか。
衝動的に買ってしまった。食すと、麹による発酵の風味が主体で、塩っぽさはなく、ほんのり甘い上品な味である。食感も鮭をはじめ、全体的に柔らかい。
そして、酸味は一切ない。
これまでの飯寿司は基本酸味が強かったので、この味は衝撃であった。
中には大根、ニンジン、カズノコ、鮭、イクラが入っていて、イクラも味付けなしで弾力が強い。こいつはクセになる。次はもっと量を買ってもいいなぁ。。
陳列された飯寿司


食い尽くしかけた飯寿司

味云々もそうなのだが、私的には久々に何かを書いてみようという気になったのも大きな収穫だ。このところ、どうもあらゆることが面倒くさくなっていて、できるだけやることを減らそうという意識が強かった。結果、ブログなど忘却の彼方にあったのだが、やはり毎日仕事を受け身にこなすだけでは精神がやられる。
と、いうか、いつの間にか時が過ぎてしまった感覚になるのだ。
へたくそな文章でも書き残しておきたいなにかがあることは良いことだ。
忘れていた気持ちを思い出させてくれた後輩よ、ありがとう。

同行者がいる場合、可能な限りテンションは高いほうに合わせたほうが楽しいですな。