2013年1月7日月曜日

北海道のオショロコマ(Salvelinus malma malma)の採餌行動と微妙な距離感


オショロコマはイワナに似たサケ科の魚。
これまでも釣ったり撮ったりして多少は関わったことがあったけれども、本種の単独生息域で潜る機会を得たのは昨年が初めてだった(それも2回も!)。

しばらく見ていて特に面白かったのは、その採餌行動だ。



採餌前

採餌



一般的に、20cm以下くらいの河川に生息する小型のサケ科魚類は、流れてくる昆虫類などを食べるものが多い。私が普段目にするイワナやヤマメだと、流れてくる餌を採る場所に対して強いこだわりがあるらしく、近寄るといったん逃げ、しばらく粘っていると同じ場所に戻ってくる。よく見ると、特等席をめぐって闘争しているのだ。


それに対してこの魚、場所に対するこだわりがあまりないのか、人が通過した後ろに付いてきて巻き上がった砂の後ろに集まり出す。おそらく、巻き上げた砂に含まれる水生昆虫や甲殻類を食べているのだと思う。まるで、本州でオイカワやウグイを釣る「アンマ釣り」のようだ。夏に見たときには、砂の上に座るようにして、自分で砂を巻き上げているのであろう様子も見られた。餌の少ない砂底の環境だから特にそうなのかもしれないが、なんとまあ柔軟な魚だなぁと感じた。

またこの魚、自分と似た他の個体との位置関係がかなり気になる種類らしい。と、いうのも、サイズがほぼ同じくらいの個体が数個体、延々と行動を共にしてしている姿が多々見受けられた。共にするだけなら良いのだが、相手が気になる余り、お互いを見ながらぐるぐると回るような体側誇示行動(闘争行動の一種)をしながらかなり広い範囲を動き回っている姿もすくなからず見かけた。ケンカするくらいなら離れればいいのに・・・。







このあたりの個体間の距離関係も、自分の持ち場から他者を排除するどちらかというと孤高のサケ科魚類と違って、群れの魚の香りを漂わせていて面白かった。ケンカもしちゃうけどお互い離れられないなんて、なんかちょっと人間と通じるものがある気がするじゃありませんか。

写真:2012/12/30撮影