2013年9月20日金曜日

【淡水魚情報】肉食の「ギギ」増加 ナマズに似た淡水魚 日置川

肉食の「ギギ」増加 ナマズに似た淡水魚 日置川


(紀伊民報 2013年09月14日 http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=259809)

この記事だと、肉食というワードにつられてしまい、オオクチバスやブルーギルのような国外からの移入種を連想してしまいそうだが、ギギは近隣の滋賀や京都では普通に在来種として普通に生息している種だ。
ここで言う移入とは、国内の別の場所から運ばれてきたことを意味している。
いわゆる”国内移入種”だ。
ちなみに、ある川にいる魚が、近いけどちょっと山を隔てた川にはいない、などという話はよくある話だ。なにせ魚は陸を歩けないので、近くたって水がつながってなければ往来はできない。
彼らの場合、おそらくは琵琶湖産アユの種苗放流に伴って入ってきたのだと思われる。

見出しを目にすると、この川だけで増えている印象だが、実は定着しているのはここだけではない。少なくとも、最上川水系、阿賀野川水系、信濃川水系、木曽川水系などの本来はいなかったはずの水域で、生息を確認している。

肉食云々というのも気にはなるが、もっと気になるのが近縁他種との種間関係だ。
たとえば、中部地方では本来はネコギギだけがいる場所に、東北地方ではギバチが分布している場所に移入されている。
こうした場所では、在来種を追いやっているのではないかと気になってしまう。
ギギ(この個体も移入個体群の一尾です・・・)
しかし、あくまで経験論で言ってしまえば、ギギはそんなに強い移入種ではない気がする。
と、いうのも近縁種であるネコギギにしてもギバチにしてもどちらかがいるところでは、ギギはおらず、どちらかというとどちらもいないところに避けて生息している印象があるのだ。
増えている場所も近縁種がいない場所ばかりに思える。
さらに言えば、ヌマムツやスゴモロコなど、たくさんの国内移入種がいる関東では、今まで確認していない。確認されてないのは、移入されていないからと言うよりは、関東の河川環境が彼らにあわず、定着できなかったと考えるのが妥当だろう。

そう、あくまで何となくの印象だが、彼らは移入先の生息環境・生息種などの生物環境をかなり選ぶ種なのではないかと思えるのだ。

そうはいっても、今後の移入された彼らがどのような影響を与えているのか正確なところはわからないし、少なくとも各地に移入・定着している状況は好ましい状況とは言えるはずがない。

ただ、なんというか、彼らも移動したいわけでもないのに移動させられ、人間の側からしても移動したかったわけでもないのに移動してしまったわけだ。
ただただ周囲の状況に翻弄され、流されながらも新しい場所で苦戦しながらも生活し、定着しはじめると最終的には悪者になってしまう。
そんな状況を思ってしまうと、ちょっとやるせない気分になる。

2013年9月19日木曜日

【観察情報】世界自然遺産:知床にカラフトマス遡上

世界自然遺産:知床にカラフトマス遡上



カラフトマス自体は8月から遡上してますが、どうやら今がピークのようですね。
秋に産卵を迎えるサケマスの中にあって、先陣を切って遡上してくる種類です。
川を埋め尽くすほど遡上する姿は、私も一度見たことがありますが、まさしく圧巻。
この時期の知床の川はこの魚で渋滞しています。



(写真2009年8月に撮影)

知床が世界遺産になった理由の一つに、川を遡上するサケ・マス類とそれを通じたエネルギー循環(普段は川から海へ一方的にエネルギーが流れていくだけだけれども、秋には彼らを通じて海から川へとエネルギーが運ばれ、森林生態系の栄養源となる)も、大きな要素だったように思います。

サケ・マス類を食べたことがない人はほとんどいないと思いますが、その遡上する姿を見たことがある人はそう多くはないでしょう。
自分が口に入れているものが、実際はどのように生きているのか。
知っておくのも良いかと思いますよ。
たぶん、相当に感動します。

【観察情報】産卵期のサクラマスに歓声 サンル川で自然観察会

産卵期のサクラマスに歓声 サンル川で自然観察会
(どうしんウェブ 9/12 http://www.hokkaido-np.co.jp/news/chiiki4/491278.html


サクラマスの産卵前線は春の桜前線とは逆に、北から訪れます。
ニュースの通り、9/8日時点では北海道北部の上川郡下川町にあるようです。

これから徐々にさがり、9月下旬には北海道南部~北東北の標高の高い場所、10月上旬には北東北の標高の低い場所と南東北の標高の高い場所・・・という具合に降りてくることになります。

今シーズンは、道南の素晴らしい川に出会えたこともあって、9月下旬の北海道南部から参戦したかったのだけど、やっぱり北海道は時間的にも予算的にもつらく、あえなく断念。
出張と併せて出先周辺の川で勝負するのが現実的という、まぁ、当たり前の結論に落ち着きました。

来週は北東北の現場があるので、そこから秋のシーズンをスタートします。
ちょうどいい具合に、今年のスケジュールを見ると、北東北、南東北、北関東、北陸の順番に現場がつまっているので、うまくいけばかなりサクラ(マス)前線とともに行動できるかもしれません。
期待だけがかなりふくらんできました。

今年の産卵期は長いなぁ・・・

写真:OLYMPUS E-300+Zuiko Digital40-150mm F3.5-4.5
今週は現場がないので、ひたすら事務所にいるのだが、昼休みに通っている川では9月も下旬になろうかという今もオイカワ、ヌマムツの産卵が続いている。
例年、9月にはいるとオイカワが終わってヌマムツだけになるのだけど、今年はまだまだオイカワも元気だ。
もうしばらくは続きそう。
10月まで続いたらすごいなぁ。

どうでも良いのだが、この写真はOLYMPUS E-300という9年以上前に発売されたデジイチで撮った。別に好きこのんで使ったわけではなく、手元にこれしかなかっただけなんだが・・・
撮ってみると、なんだか悪くない。
まぁ、連射がRAW+SQでとると3コマで止まってしまうとか、AWBがひどすぎて、RAW現像をわりとまじめにやらないと見られる画にならないとか、時代相応の問題点はある。
それでも、出す画にはE-3やマイクロフォーサーズにはないような味がある。キットレンズの写りも良い。
グリップ感なんかは現役のE-3よりも良いくらいだ。
ファインダーも小さいながらになんだか見やすい。

なんだか、この筐体のまんま中身だけバージョンアップさせてくれないかな・・・そんな気にさせられた。
って、フォーサーズすら終わっちゃったのにそりゃないよね。
E-M1買うべきか??


水上から魚を観察・撮影する方法(1)

「水上から覗くとはどういうことか?」
私は野生の淡水魚を観察するのが趣味で、観察は水上からも水中からも行います。
どちらかというと、水上から見るほうが私は好きかもしれません。
なんて言ったって、身一つで見られますからお手軽ですし。
写真を撮るとなると、水中よりも周りの風景を反映したちょっと味のある写真が撮れる気もします。

イワナのペア
秋な感じがでる気がしませんか・・・


”泳いでいる魚を水の上から見たことがありますか?”と言う質問に対して、
おそらく「ない」と答える人は少ないのではないと思います。
日常生活の中で泳ぐ魚を見る機会は結構あります。
お祭りの金魚すくいの時も見るでしょうし、池を泳ぐコイを見ることもしばしばあるでしょう。
橋の上から魚が泳ぐのを見たことがある人だって多いのではないでしょうか。
水上から覗くとは、つまり、たいていの人が人生の中で一度は経験していることなのです。

「水上からの覗き」は、難しい作業ではありません。
簡単に言えば、「場所を決めて」、「行って覗き込む」だけで、誰にでもできます。
ただし、飼育されている魚や人慣れしている魚と違って、野生魚を見るには多少のコツがあります。
ここでは、「場所を決めて」、「行って覗き込む」その二つに関するコツをまとめてみます。

<手順1> 場所を決める
水上から見ることを楽しむにあたり、どこに行くか決める必要があります。
行く場所は川、用水路などどこでも良いのですが、川が一番無難だと思います。
池や湖などは全体の水域に対して人の目が届く範囲が岸際のごく一部だけなのであまり向いていません。

さて、川を選んだら次は川のどこで観察するかを決めます。
観察ポイントを選ぶときは、

1)水深があまり深くない場所(ある程度底まで見通せる場所がある)
2)水面を橋の上や護岸などの高い位置から水面を見下ろせる場所
3)川底がコンクリートではない場所

の条件をできるだけ満たすところを選んでもらえればよいと思います。
もちろん水の透明度も良いにはこしたことがありません。

だいたいの川において、上記のポイントを満たすところで観察すれば、種を問わなければなにかしらの魚は見られます。
なお、見たい魚がある場合は魚の特性から場所を決めなければなりませんので、もう少し考えることが増えます。これについては、種別に見ていかなければならないところもありますので、ここでは詳しく述べません。
また、おいおい書いていきたいと思います。


観察に適した川。護岸があって高いところから見下ろせる。
写真ではわからないが水深も10~20cmくらいで浅い。

<手順2>行って覗き込む
覗きこんで魚を見るコツは2つあります。
ひとつは「魚に警戒されずに見る」こと、もうひとつは「目を慣らす」ことです。
ひとつづつ説明していきましょう。

(1)魚に警戒されずに見る
これは一言で言えば観察者と魚との距離を出来るだけとることにつきます。
<手順1>でも書きましたが、観察ポイントとして橋や護岸のような高い場所から見下ろせる場所を選べば、必然的に魚との距離はとれますので、警戒されにくくなります。

このような高いところがない場合でも、観察することはできます。
この場合、河原を歩きながら魚を探すことになります。
そうすると、水面に近いところから見ることになりますので、魚を発見するのもだいぶ魚に近づいてからになります。
結果、魚に近づきすぎて逃げられてしまうことが多くなります。
川を歩いていてあまり魚に出会わないのは多くの場合、これが原因です。

ですから、この場合は、
1)出来るだけ離れた場所から魚を見つける
2)物陰から覗く

などの魚に魚に気づかれないような工夫をすることが必要になります。
魚の観察になれて、「サクラマスやイワナなどの産卵が見たい!」と思うようになれば、
護岸されたような所にはあまりいないので、おのずとこちらの道を選ぶことになります。

最終的には、「どの位近寄ったら逃げるか?」という感覚は経験でつかむしかないです。
しかし、事前にこれらのことを意識しているかいないかで、最初に出会う確率はだいぶ上がると思います。

(2)目を慣らす
さて、現地に到着して川を見るなり、いきなり大きさが10cm以下の魚を見つけられるのは相当な上級者だと思います。
どうもこれまで観察に連れて行った初心者の人の話から考えると、川にいる一般的な魚は思っているよりもずっとずっと小さく、最初は目が勝手に無視してしまっているようです。
ですので、はじめはコイのように大きくて見つけやすい種類を見つけてください。
そして、コイの大きさを頭に置きながら、「コイの1/3くらいの大きさの何かいないかな・・・・」という感じで小さな魚を探していってください。
目の焦点を水面からやや水中に移すようなイメージで探すと探しやすいです。
また、川の中を走る陰を目で追うのも有効です。
そうして探していくと、川には思いのほか魚が多いことに気が付くと思います。

魚を見つけられたら、次はその中から面白そうな行動をしている魚を見つけてください。
面白そうな行動とは、「他の個体を攻撃し続けている」、「2尾で同じ場所から動こうとしない」、「1尾だけ色が付いていて鰭を動かしている」とかいったものです。
こうした個体を追っていくと、観察の中でなにかしら面白い発見があると思いますし、全体をなんとなく見ているよりも観察は数倍楽しくなります。


上の写真の川で観察されたオイカワ。
10cm位の小さな魚だが、よく見れば雄同士が闘争中だった。

以上、「水上から魚を撮影する方法(1)」でした。


次は観察に必要な道具などについて触れていきたいと思います。

2013年9月17日火曜日

台風が去って


この連休中、実家に帰省していたのだが、自宅が台風でどうなっているのかちょっと心配だった。熊谷や行田では突風(竜巻?)の被害が出たなんて言うし。
で、帰ってみたら特に目立った被害は無し。
周囲を見ても田んぼの稲の倒伏もなさそうだ。
とりあえず、自宅に関しては一安心。

台風は、人にとってはやっかいな存在なのだが、自然界には当然あるべき攪乱だ。
実際、台風で出水があった年はアユの産卵状況も良いことが知られている。
これまで出水が無くて、カチコチになって藻類の生えまくった川底も、新しい土砂が供給されて綺麗になることだろう。
また、川が暴れて、河川敷内に新しい小川や池が出来たに違いない。

しかし、一般的な生き物にとってはプラス材料となるが多い台風だが、すでに生息域がごくごく限られている生き物にとっては少々まずい影響が起きかねない。
彼らは大丈夫だろうか・・・
すでにいろいろ問題を抱えているだけに・・・
どうもこうも出来ないのだけど、もやもやだけが心に残る。

2013年9月16日月曜日

気持ちの悪い国

今日は台風でどこにも行けず。
で、いつもの魚の話題とは違うのだが、今日一番気になったのは、オリンピック招致プレゼンで阿部首相が発言された「Fukushima is under control」という言葉だ。
朝から様々な討論番組で取り上げられていたが、私としてはいちいち討論を聞いているのすらもどかしく感じた。

ニコニコとしながらこの言葉を発している姿は、失礼ながら、私の頭には悪魔とか、売国奴とかいう言葉と、とにかく薄気味が悪い、そんな思いしか浮かんでこない。
断わっておくが、どこの政党を支持しているわけでもない。

討論の中では、twitterを通じて野党に対して「そんな揚げ足取りばっかりするなよ!」というコメントが多く寄せられていた。
確かに、国会や関連ニュースを聞いていると揚げ足取りのようなやりとりをしていると感じることは多いし、もっといえば大半はそればっかりである気もする。
しかし、こればっかりはそんな次元の問題ではない。

経済成長とか、オリンピックとか、だれもが逆らえないような状況を盾にして、全ての事を進めていくやり方はどこかしら卑劣さを感じる。
最近の日本は本当に気持ちの悪い国になってきいてる気がする。
番組中のtwitterのコメントさえ、放送局側が選んで流しているのだろうか。。。そう思えてしまう。

「大多数の票は都市部にあるんだし、都市の住民の生活には影響ないように見せることが大事だ。そして、反対しづらい明るく見える話題を前面に出して、彼らを逆らえないようにしておけば次の選挙も勝てる。暗い話題は地方に沈めておけばいい。」そんな思いが、政府にもマスコミにも透けて見えるように感じるのは私だけなのだろうか?