2013年9月19日木曜日

水上から魚を観察・撮影する方法(1)

「水上から覗くとはどういうことか?」
私は野生の淡水魚を観察するのが趣味で、観察は水上からも水中からも行います。
どちらかというと、水上から見るほうが私は好きかもしれません。
なんて言ったって、身一つで見られますからお手軽ですし。
写真を撮るとなると、水中よりも周りの風景を反映したちょっと味のある写真が撮れる気もします。

イワナのペア
秋な感じがでる気がしませんか・・・


”泳いでいる魚を水の上から見たことがありますか?”と言う質問に対して、
おそらく「ない」と答える人は少ないのではないと思います。
日常生活の中で泳ぐ魚を見る機会は結構あります。
お祭りの金魚すくいの時も見るでしょうし、池を泳ぐコイを見ることもしばしばあるでしょう。
橋の上から魚が泳ぐのを見たことがある人だって多いのではないでしょうか。
水上から覗くとは、つまり、たいていの人が人生の中で一度は経験していることなのです。

「水上からの覗き」は、難しい作業ではありません。
簡単に言えば、「場所を決めて」、「行って覗き込む」だけで、誰にでもできます。
ただし、飼育されている魚や人慣れしている魚と違って、野生魚を見るには多少のコツがあります。
ここでは、「場所を決めて」、「行って覗き込む」その二つに関するコツをまとめてみます。

<手順1> 場所を決める
水上から見ることを楽しむにあたり、どこに行くか決める必要があります。
行く場所は川、用水路などどこでも良いのですが、川が一番無難だと思います。
池や湖などは全体の水域に対して人の目が届く範囲が岸際のごく一部だけなのであまり向いていません。

さて、川を選んだら次は川のどこで観察するかを決めます。
観察ポイントを選ぶときは、

1)水深があまり深くない場所(ある程度底まで見通せる場所がある)
2)水面を橋の上や護岸などの高い位置から水面を見下ろせる場所
3)川底がコンクリートではない場所

の条件をできるだけ満たすところを選んでもらえればよいと思います。
もちろん水の透明度も良いにはこしたことがありません。

だいたいの川において、上記のポイントを満たすところで観察すれば、種を問わなければなにかしらの魚は見られます。
なお、見たい魚がある場合は魚の特性から場所を決めなければなりませんので、もう少し考えることが増えます。これについては、種別に見ていかなければならないところもありますので、ここでは詳しく述べません。
また、おいおい書いていきたいと思います。


観察に適した川。護岸があって高いところから見下ろせる。
写真ではわからないが水深も10~20cmくらいで浅い。

<手順2>行って覗き込む
覗きこんで魚を見るコツは2つあります。
ひとつは「魚に警戒されずに見る」こと、もうひとつは「目を慣らす」ことです。
ひとつづつ説明していきましょう。

(1)魚に警戒されずに見る
これは一言で言えば観察者と魚との距離を出来るだけとることにつきます。
<手順1>でも書きましたが、観察ポイントとして橋や護岸のような高い場所から見下ろせる場所を選べば、必然的に魚との距離はとれますので、警戒されにくくなります。

このような高いところがない場合でも、観察することはできます。
この場合、河原を歩きながら魚を探すことになります。
そうすると、水面に近いところから見ることになりますので、魚を発見するのもだいぶ魚に近づいてからになります。
結果、魚に近づきすぎて逃げられてしまうことが多くなります。
川を歩いていてあまり魚に出会わないのは多くの場合、これが原因です。

ですから、この場合は、
1)出来るだけ離れた場所から魚を見つける
2)物陰から覗く

などの魚に魚に気づかれないような工夫をすることが必要になります。
魚の観察になれて、「サクラマスやイワナなどの産卵が見たい!」と思うようになれば、
護岸されたような所にはあまりいないので、おのずとこちらの道を選ぶことになります。

最終的には、「どの位近寄ったら逃げるか?」という感覚は経験でつかむしかないです。
しかし、事前にこれらのことを意識しているかいないかで、最初に出会う確率はだいぶ上がると思います。

(2)目を慣らす
さて、現地に到着して川を見るなり、いきなり大きさが10cm以下の魚を見つけられるのは相当な上級者だと思います。
どうもこれまで観察に連れて行った初心者の人の話から考えると、川にいる一般的な魚は思っているよりもずっとずっと小さく、最初は目が勝手に無視してしまっているようです。
ですので、はじめはコイのように大きくて見つけやすい種類を見つけてください。
そして、コイの大きさを頭に置きながら、「コイの1/3くらいの大きさの何かいないかな・・・・」という感じで小さな魚を探していってください。
目の焦点を水面からやや水中に移すようなイメージで探すと探しやすいです。
また、川の中を走る陰を目で追うのも有効です。
そうして探していくと、川には思いのほか魚が多いことに気が付くと思います。

魚を見つけられたら、次はその中から面白そうな行動をしている魚を見つけてください。
面白そうな行動とは、「他の個体を攻撃し続けている」、「2尾で同じ場所から動こうとしない」、「1尾だけ色が付いていて鰭を動かしている」とかいったものです。
こうした個体を追っていくと、観察の中でなにかしら面白い発見があると思いますし、全体をなんとなく見ているよりも観察は数倍楽しくなります。


上の写真の川で観察されたオイカワ。
10cm位の小さな魚だが、よく見れば雄同士が闘争中だった。

以上、「水上から魚を撮影する方法(1)」でした。


次は観察に必要な道具などについて触れていきたいと思います。

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