2013年9月7日土曜日

ハチマキ



タナゴ類は二枚貝に卵を産み付けるという特殊な生態を持つ、コイ科の淡水魚だ。
日本の魚を網羅的に掲載した図鑑、日本産魚類検索第三版に掲載されているタナゴ類は17種。
このうち大半の種類は春に産卵するのだが、3種類は秋に産卵する。
カネヒラはその3種のうちの一つ、今がまさに産卵期だ。

タナゴ類は、貝という限られた産卵場を奪い合うためか、オスに強い競争が働くようで、どの種類もオスがとても綺麗な婚姻色(※1)を出す。
その中にあって、カネヒラの色は、もっとも鮮やかだと言ってもよさそうだ。それくらい美しい。

かつて、魚の師匠と、カネヒラの美しさについて話したことがある。
私は桃緑に輝く体の美しさを力説した。

一方のお師匠はといえば一言、
「カネヒラの一番の見所はハチマキだと思うけどな」

その時は言っている意味が分からなかったけど、なるほどそうか。
写真を撮ってみてわかった。

額にはしる白銀は、世代を繋ぐ決意に見える。

カネヒラのペア(左:♀、右:♂)
※1:産卵期にのみでる体色。色は繁殖に関連しており、メスをひきつけたり、メスや産卵場を巡るオス同士の闘争行動などに役立つ。
※2:調子に乗ってコピーライトマークなんて入れてみたけど・・・なんかあんまりかっこよくないなぁ・・・