2019年9月21日土曜日

顔の差


ブログ更新は怠慢そのものなのだが、書きかけの記事は案外たくさんあったりする。見直してみると、大概は途中でやめただけあって、どうでもいい記事なのだが、これはちょっと「おおっ?」と思った。
それはウグイ属の顔の記事。
日本産ウグイ属は5種。どれも体は似てるのに、顔の形が違うのが面白い。中でも極端なのはウケクチウグイとエゾウグイ。ウケクチは名の通り下顎が出た受け口。エゾウグイは吻端が突き出た形。残りの3種(ウグイ、ジュウサンウグイ、マルタ)はどちらかというとエゾウグイ寄りというくらいの形だ。
エゾウグイは産卵の時にメスが頭から川底に突入するようなので、この吻端はそのためだろう。ウグイ、マルタは見る限り川底には突っ込まない印象。ただし、四万十川ではウグイの吻端がずいぶんとがるみたいなので、場所によって産卵行動は違うのかもしれない。
さて、ウケクチはどうだろうか。いつか見られるかな…

ウケクチウグイ(Tribolodon nakamurai)

エゾウグイ(Tribolodon ezoe)


エゾウグイの産卵

ウグイの産卵

2019年9月20日金曜日

幅広い

年齢層が読むライトな本かと思っていたが、しっかりした学術書であった。有明海だけではなくて、東南アジア、オーストラリアの種についても生態から漁業までの内容が盛り込まれている。
ただ、インドの生息種に関してはほとんど情報がない。生態はともかく、ムンバイ湾での生息種と見た範囲の漁業くらいどこかに書き残しておいた方が良いのかと思った。ムンバイなんて大都市の伝統漁業なんて場合によってはすぐなくなってしまうかもしれないし。せめてこのブログにくらいは…




2019年9月15日日曜日

知床まで来てカラフトを

初日の写真だけで済ませるわけにはいかない。
そんな思いで、早起きしてラウス側の川へ。
クマに怯えながらひとしきり川を歩くが、昨日同様カラフトの姿はまばらで、とても撮影できる状況ではない。早々にラウス側での撮影を断念する。
しかし、ラウス側の川は水がきれいだが、川底が露岩している場所が多く、産卵適地が少ない。と、いうか知床、砂防ダム多すぎだ。そりゃ世界遺産としてどうかとIUCNも言うよね。下流に人が住んでいるところはともかく、集落もないところは撤去でいいんじゃないかと外野ながら思う。撤去も雇用を生むし。
なにより、現状は全部の川に複数基のダムがある状況。スリット化もいいのだが、一つくらいダムのない川が見てみたい。
どの川も、河口から歩ける範囲でわりとすぐ砂防ダムにあたる。
そんなこんなでラウスを後にして、知床峠を超えてウトロ側へ向かう。
車で走ること一時間弱、10年前の撮影場所、遠根別川に到着した。すると、何だこりゃ。河口はサーモンフィッシングでとんでもない人の数である。とても潜って撮影どころではない。斜里で行ったホームセンターの1/5くらいのスペースが釣り具売り場となっていたが、そういうことか。
遠音別川河口の釣り人 駐車場は車でいっぱい。


ホームセンターではこんな段ボールも売っている。


取り急ぎ、川にカメラを突っ込んで数枚写真を撮ってみる。ここのカラフトはまだ産卵前だけあって傷がなく綺麗だ。

遠音別川を遡上中のサケとカラフトマス 上にはサケマス孵化場がある。

川を遡っているサケ科魚類はサケとカラフトマスで大体2:1くらいだった。もう秋もだいぶ中盤に差し掛かっているといえそうだ。

その後、初日の川へ戻る。
うむ、濁りは取れている。
相変わらず産卵ほぼ終了のガードメスばかりの状況だが、ガードメス横で張ってふらふらとオスが来た時にペア写真を撮ることにした。
少々辛抱を要したが、一応ペアの写真は撮れた。ちなみにこのオスはメスの後ろについて十秒後には追い払われていた。まぁ、今時期にしては上出来かと納得して撮影終了。いつかはカラフトの放卵放精までちゃんと撮りたいな。

カラフトマスのペア
十秒後、オスは追い払われる。
カラフトの撮影を終えて14時過ぎ。微妙な時間になった。
迷った末、初日にサクラを見た場所に戻る。
雨後2日目、もうここでは産卵行動をとる個体は確認されなかった。
よくよく見ると、産卵床を掘っていたメスが産卵床をガードしていた。ヘロヘロで逃げる感じもなく、ここ2日で人(魚?)生の大仕事をやり遂げた感がにじみ出ていた。
初日見たサクラマス。産卵床をガードしていた。
サクラを見てから少し時間が余ったので、斜里に戻り知床博物館へ。
斜里川のイトウ、あれだけ大きな川でメス親魚10個体程度かぁ…現状、生き残っただけ良しとする世界ですな。そして、これを見つけ出した人もすごいな。

館内は、自然半分、文化半分的な展示であった。個人的にはアイヌの暮らしに惹かれた。厳寒のこの地での生活の知恵と技術は、ある意味では現代の科学技術よりもすごいかもしれない。

日没前、まだまだチャンスはある。と、いうことで斜里川河口へ。
河口では遡上直前のサケが跳ねていた。
カモメがたまにサケを陸上にひきずりあげて食べている。
別に大した写真が撮れるわけではないが、単純にサケが跳ねた瞬間が写真に写ると嬉しい。
斜里川河口ではサケが跳ねてました。
カモメが急に飛び立った。と、思ったら奥に猛禽のシルエット。オジロワシかな。

日没コールド後、道の駅斜里の横のお土産屋で昆布と鮭とば、カラフトマスのとばを買って、初日に飯を食った”しれとこキッチン熊湖”でサクラマス定食を再び食べる。いまさらながら、サクラマス味噌漬焼き定食にしておけばよかったと後悔している。
お土産屋さんで見かけたサクラマス。一本1000円。安くないか?

左が鮭とば、右がカラフトマスのとば 味わいはだいぶ違う。ちなみに、鮭とばも普通に売っている鮭とばとは違い、薄切りでチップス状になっている。


しかし、今回の食事はほぼ、コンビニおにぎりとサクラマスだった気がする。
三振かホームランか。元近鉄のブライアントのような四日間の食だった。

おしまい。