2013年9月14日土曜日

マイナーな国内移入


9月の写真を探していたら、こんな写真が見つかった。
シナイモツゴの写真なのだが、採取地点は北海道は積丹半島。
8年前の帰省の時、以前勤めていた会社の先輩とサカナ採りに行って採取した。
十中八九移入個体群なのだが、手に届く範囲の資料では記録がない地域での採集だ。

しかし、残念なことに手元にあるのはこの写真とおぼろげな記憶だけ。
詳細な採取地点情報も、標本も手元にない。
うーむ、どの角度から考えても、失態としか言いようがない。

失態を棚に上げて話を進めるけれども、シナイモツゴの移入は、北海道では函館近辺や十勝川水系などで記録されている。
彼らは、日本海側では新潟、太平洋側では関東以北の本州にしかいない種類。
つまり、北海道への移入は本州北部からの移入ということになる。
国内移入の話題がホットな今時にこんなことを言うのも何だが、本州北部と北海道の淡水魚についてみると、人の移動に伴って淡水魚も行き交っている節があって面白い。

シナイモツゴは本州からきた種類だが、逆に本州北部には青森にエゾホトケ、宮城・福島にフクドジョウなど北海道から持ち込まれた種がいる。
本当かどうかはわからないが、かじり聞いたところでは北海道に入植するときに持って行ったとか、いったん北海道で暮らしたがその後戻ってきた人がもってきたとか・・・

近年の国内移入種についての話題の多くは、琵琶湖産アユを全国への種苗放流した時に混ざって話されてしまう種類や、ヘラブナなどのような遊漁の放流、観賞魚の野外放逐などの話だ。
シナイモツゴやエゾホトケ、フクドジョウの話が話題にあがることはあまりない。
なんだろうか、個人的には遊漁や観賞魚で大規模に移入された種よりも、これらの種の移動は人の生活に密着しているように思えて妙な感慨がある。

石田純一じゃないけど、「移入は文化だ」なんて言ったらめちゃくちゃ怒られるだろうな。




※:個人的には国内移入は全く認めていない立場にいることを付記しておきます。

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