2015年2月23日月曜日

うーむ

今日はとても暖かかった。
来年度が始まるのも、もうすぐだ…などと考えていたら、ついついあれもしたいこれもしたいなどと思い始めた。

さしあたって、現場での文字書きと写真編集の作業効率の改善に焦点をあてて考えてみる。
とかく現場が多い仕事柄、ブログを書いたり写真を現像してみたりという作業はどうしても出先でする事が多い。
こうした作業は普段ノートパソコン(hp2540p)でやっているのだが、これがどうもいけない。
表向きのスペックは悪くないはずなのだが、OS(Win7)が重いのかアプリが重いのか、おそらくどっちもなのだろうけれど動きがすこぶる悪い。あらゆるアプリケーションを軒並み削除してようやく文字がストレスなく打てるくらいの状態となっている。
オフィスとウィルスソフトくらいしか入っていいない我がマシン。これではネットブックでよいではないか。いや、ネットブックだともっともっとストレスがかかる悲惨な状況となっていたのか。。。

最近のPCって昔のPCに比べたら性能は格段によくなっているはずなのに、OSやソフトが重くなっているせいで、いらいら度は以前とさして変わらない気がする。で、もってOSもソフトもそれに見合うほどよくなっているようには思えないので納得がいかない。
いっそLinuxの高速機を目指すほうがよいのか?
Windows2000くらいの安定動作していた過去のOSを、今のPCに入れてみたらどれほど早く動くのかも気になるところだ。Microsoftが重いOSをつくればメーカーもハイスペックなパソコンが売れるだろうから互恵的な関係にあるんだろうけど、私的には複雑な機能よりストレスのない作業環境のほうが重要だと思う。ほとんどの人がそうだろうけれど。

さて話は戻って、出先での文字書きと写真編集に。
文字書きは、まぁまだ良いのだ。
最大の問題は写真編集である。RAWを少しいじったり、コピーライトスタンプを入れたりする作業だが、これがまぁ今のパソコンだと遅く、いらいらする。動いている時間より待っている時間のほうが5倍くらい長い。
先日など、ためしにAdobe Light room5.7を入れてみたら、起動すら3回に1回くらいしか立ち上がらない体たらくであった。起動でこれなので編集など夢物語である。
実際、文字は書きながらも写真が編集できないためにブログ投稿をあきらめた事も少なからずある。

こうした状況がなんとかならないのか、あれこれ考えながら手持ちのiphoneをいじくり回していたら、なんとiphoneにもRAW現像ソフトがあるじゃないですか。「Photogene」というアプリなのだが、使ってみるとこれが快適。ノートパソコンなどよりずっとさくさくと動く。
さすがにiphoneの画面は小さいので全体像が見えなかったりするので色調整などは難しいが、これが画面の大きなipadなら完璧に作業できる気がする。
さらに、 「まるしー」というアプリ、こちらをつかうといとも簡単に画像にコピーライトスタンプが入れられた。なんだか重いノートパソコンを持って歩くのが急速にあほらしくなってきた。
ipadが欲しくてたまらない。

iphoneで現像してみた。色調整は失敗したけれど、作業にストレスはなかった。



2015年1月29日木曜日

鷺知らず

「いつくるんだ?オイカワ食べなきゃならんだろ?」
お師匠から電話をいただいたのは2ヶ月ほど前だったろうか。京都にオイカワ料理を出してくれるお店があることは以前から聞いていた。こんな魅力的なお誘いはほかにない。
オイカワといえば雑魚中の雑魚(注1)。曲がりなりにもこのブログ、雑魚のたまり場を名乗っているのだ。食べないわけにはいかない。いやいや、そんな事情云々を抜きにしても食べたい。


しかし、正直なところ、最近はいろいろなものに嫌気がさしていた。
年度末が差し迫り、仕事は山積みであるし、ミスやら物忘れやらするものだから一向に山が低くなっていかない。自分の能力の低さにゲンナリする毎日。
さらに悪いことには、魚は全く動かぬ季節。外にも中にも息の抜きどころすらないときたものだ。
一月は京都へと出かけるときめていたのだが、このような状況。オイカワという最高の目標があるにもかかわらず、土日に出かけるのは若干の抵抗があった。

そんなこんなで後ろ髪をひかれながらやって来たのは四条河原町近くの小路地にある料理屋「喜幸」さん。
店に入るやいなや、カウンター脇にあるオイカワ(注2)が大量に泳ぐ水槽に目を奪われ、頭の中の嫌な“もやもや”は一瞬にして吹き飛んだ。水槽内のオイカワに、一尾のヤリタナゴが混じっていることにさらに沸いたが、少々騒ぎすぎたかも知れない。
店内の水槽

落ち着きを取り戻し、席で待つことしばし。まず登場したのがオイカワのから揚げ。
揚げられているのは直前まで水槽を泳いでいたオイカワだ。
第一印象は、「オイカワが立っている!」そのまんまで申し訳ないが、何とも食うのが惜しい盛り付けである。実際、様々な角度から写真を撮っているうちにちょっと冷めてしまった。食うのが惜しいなどと書いてしまったが、実際は熱いうちに食うべきである。
使われていたオイカワの大きさは体長で3cm~5cm程度の幼魚。3cmくらいの小さな個体はくせのない味で柔らかな食感、5cmくらいの大きな個体は少し川魚特有の苦味がある。私はこの苦みが好きだった。

ハエ(オイカワ)のから揚げ
 続いてあらわれたのがオイカワの白焼き。
これまた体長で3cm~5cm程度の幼魚を串にさして焼いてくれる。衣を通さない分、ダイレクトにオイカワの味がわかる。焼きの香ばしさも相まってこれまた美味い。
ハエ(オイカワ)の白焼き

さて、オイカワのフルコース、仕上げに登場したのはオイカワを煮た「鷺知らず」だ。こちら3cm前後の小さなオイカワのみが使われていた。
小魚煮などと言ってしまえば、甘露煮的なやや固いものを想像してしまうのだが、鷺知らずは違った。何ともやわらかく、煮汁が良く浸みてとても味わい深いのである。
この食感は、身が柔らかいオイカワの幼魚にしか出せない食感ではなかろうか。
食べ方など人それぞれであろうが、私は1尾をつまんで舌にのせ、上あごとはさんで軽く絞るようにしてしみ出す味を堪能し、その後歯でかみしめて食べるのが何とも美味であった。
鷺知らず

世間一般では、オイカワは美味しくないというのが定説のようだ。場所によっては、猫も食べない猫またぎだなんて不名誉な地方名もあるくらいである。けれど、今回食 したオイカワは、そんな風説を全く感じさせない代物であった。その一因は、使用しているオイカワの大きさにあるのだと思う。

世の中でオイカワがおいしくないといわれる評判を総合すると、どうもその原因は「クセ(臭み)がある」、「小骨が気になる」という二点に集約されそうだ。ところが、今回食べたオイカワ、特に3cm~4cmの小型の個体からはこれらの要素が一切感じられなかった。それどころか、クセも、小骨の食感も皆無であり、むしろこれこそが特徴であるとも言えるくらいであった。

女将さんのお話では、鷺知らずというのは鴨川で取れたオイカワの幼魚のみをさすらしい。と、いうか鴨川周辺以外ではこの小さな幼魚を料理するという慣習すらなさそうだ。
オイカワという魚、極めて一般的にいる魚で、普段の調査でもよく取れるのであるが、3cmくらいの小さな個体は、少しでも指で触ると鱗が軒並みはがれ、いともた やすく死んでしまう。身もヘナヘナで、はっきり言って川魚最弱クラスである。
そのため、生かして持ち帰るのはそれなりに手間がかかる。そうでなくても大きな個体はまずいことがわかっているのだ。ほかの地域で手間暇かけてこの小魚を何とかしてやろうなどという文化がないのはある意味当然なのかもしれない。
この魚をあえてひと手間かけて食おうと思った京都の文化には感心するばかりだ。それにしても、こんなに美味しいとは…

「鷺 知らず」の名前の由来は、「鷺の目に止まらないほど小さい」、「小さくて鷺が餌として認めない」、「小さくて鷺に襲われないために魚が鷺のことを知らない」、など諸説あるようだけれど、食してみた感想としては「この小さな魚がこれほどうまいことを、鷺だって知るまい」という意味なのではなかろうかと思った。
何はともあれ、初のオイカワ。本当に心から堪能させていただきました。当初かかえていた鬱っぽい気分は完全に吹き飛んだわけであります。料理屋さんはもちろん、お誘いいただいたお師匠にも、楽しい場を共有させていただいたNさん、Mさんにも本当に感謝であります。
また行きたいな。川魚はもちろん、今度は豆腐も食べてみたい。

お品書き
鷺知らず専用?投網 目合いがとんでもなく小さい。
注1)    オイカワは以前の学名がZacco platypus(今はOpsariichthys platypus)。このZaccoは日本語の雑魚に由来する。つまり、オイカワは雑魚中の雑魚というわけだ。

注2)    お店ではオイカワを「ハエ」と呼んでいる。ちなみに発音アクセントは”ハ”にある。鴨川近辺では、小さなオイカワを「ハエ」または「ハエジャコ」と呼び、成魚を「オイカワ」というそうだ。

<追伸>
クセのない魚を料理するとなると、味付けの重要度はとても高いと思われ、鷺知らずを自宅で再現というのはまぁ私の料理の腕から言って不可能でしょう。でも、から揚げなら同じとはいかなくても食べられるレベルまでいけるかも…そういや、今週、調査があるなぁ。
当然オイカワもいる。
いかん。何かとってもいけないことを考えている気がする。

2015年1月14日水曜日

オープンな流れ?

今日HPを巡回していたら、雑誌Ecology and Evolutionがオープンアクセスになっていた。
NatureがReadCubeで見られるようになったりして最近はオープン化の流れがあるのかな?
そんなにたくさん読めないけれど、選択肢が増えるのは良いですね。

2015年1月13日火曜日

科学記事雑感:寄生関係の逆転(ヨーロッパタナゴRhodeus amursとドブガイ属の二枚貝Anodonta sp.)

私のお小遣いが今の額に決定されるまで、かみさんとの間には語るも涙なやりとりがありました。同じように、生物同士の今の間柄というものも、進化の過程でずいぶんな攻防があったのでしょう、今回はそんなことを感じさせるお互いを利用しあう2種類の生き物のお話です。

このブログでもしばしば登場している魚、タナゴ類は5~10cm程度の小さな淡水魚。世界的にみると、東アジアを中心に50種類くらいが生息しているそうです。日本にも、このうちの20種弱と、かなり多くの種類が生息しています。
さて、このタナゴという魚、卵を二枚貝の中に産みつけるという変わった生態を持ちます。この生態、貝にしてみれば迷惑な行為のようで、卵を産みこまれると何とか吐き出そうとするようです。しかし、そこはタナゴ類のほうが一枚上手。卵の構造が貝の中から吐き出されにくい形になっており、吐き出されるのを防いでいます。

一方、二枚貝も寄生されているばかりではありません。こちらはこちらで、雌の貝が幼生を放出して魚に寄生をさせるという生態を持ちます。さて、貝にしてみれば、タナゴ類は産卵するためにわざわざ近づいてくるわけですから、幼生を寄生させるのには好都合な相手に見えます。ところが、ここもタナゴが一枚上手。タナゴはどうやら二枚貝の幼生に対して免疫機構のようなものを持つようで、タナゴについた幼生は正常に発育せず、稚貝になる前に消えてしまうようなのです。つまり、現状、タナゴ類と二枚貝の関係はタナゴ類の圧勝という状態にあるといえるかと思います。

ところが、この関係、すべてのタナゴと貝について成り立つわけではないようです。近年の研究によると、タナゴ類の一種、ヨーロッパタナゴ(Rhodeus amurs)は、同じ生息地にもともと住んでいる在来種の貝(ドブガイ属の一種Anodonta anatina)との間ではこの関係が成り立ちますが、東アジアから持ち込まれた外来種(同じくドブガイ属の一種Anodonta woodiana)との間ではタナゴ側は貝を産卵場として利用せず(できない?)、一方で貝の幼生はタナゴに寄生して発育がすすむ、つまり寄生関係が逆転するのだそうです[1]。

ヨーロッパタナゴ(Rhodeus amurs)の産卵行動
貝はAnodonta cygneaというドブガイ属の貝のようです。ここでは産卵に失敗して貝から卵が吐き出されます。
紹介した論文ではAnodonta woodianaを産卵場として選ばないという結果でしたが、産卵はするが全て吐き出されると言う報告もあるようです。

なお、Anodonta woodianaは本種の幼生が寄生した魚が移植されたことにより、ヨーロッパに侵入したと考えられていますが、天然分布地の東アジアでは多くのタナゴ類に産卵場として利用されています。対するヨーロッパタナゴ、こちらは世界的なタナゴの分布域からすると端っこに分布する種で、ヨーロッパに分布するタナゴ類は本種一種。こうした背景を考えると、Anodonta woodianaのほうがタナゴ-二枚貝間の種間関係に”揉まれて”いたからなのか?とも思えますが、いずれにせよ歴史的に接点のなかった二種の間では通常と違う種間関係となる場合があるのでしょう。外来種の存在が、皮肉にも在来種同士の種間関係が長い歴史をかけて築かれたものであるということを示した事例であるとも言えるかも知れません。

<Reference>
[1] Reichard, M., Vrtílek, M., Douda, K., & Smith, C. (2012). An invasive species reverses the roles in a host–parasite relationship between bitterling fish and unionid mussels. Biology letters, 8(4), 601-604.


蛇足:こんな事例を見てしまうと、ヨーロッパやロシア、北米を分布の中心とするカワシンジュガイ類と、東アジアを分布の中心とするタナゴという組み合わせも、お互いの分布域の端っこである日本で出会うわけで、何か特殊な関係がありそうに妄想してしまいます・・・

2015年1月9日金曜日

科学記事雑感:卵で卵をガードする(マメゾウムシの仲間:Mimosestes amicus)

人間、なにがしか行動するからには、行動に対して最大の効果を得たいものです。常に自分の身の周りの状況を正確に把握して、その中で最大の効果を得る、なんてことは誰しも思うけれどなかなかにできないものです。
今回読んだ論文は、そんな理想を現実として実践しているのでは?と思える昆虫のお話でした。

アメリカに生息するマメゾウムシの一種、Mimosestes amicusは、アカシアの木になるマメの”さや”の外側に卵を産み付ける習性があるのですが、この昆虫にはUscana semifumipennisという卵寄生蜂の天敵がいるそうです。卵寄生蜂というのは、他種の卵に自分の卵を産み付けて寄生する蜂で、産み付けられればその卵は蜂の子供の栄養になってしまいます。
さて、このMimosestes amicus、寄生蜂に無抵抗で寄生されているのかといえば、どうもそうでもないようです。なんと、卵を産むと、その上にかぶせるようにもうひとつ別の平たい卵を産んで寄生蜂から卵をガードするのだというではありませんか。
しかし驚くのはまだ早い。
最近の研究[1]によれば、実験的に寄生蜂のいない環境に置いた場合、このような平たい卵を重ねて生むようなことはほとんどせず、普通の卵ばかりを産むのだというのです。平たい卵は普通の卵と比較して半分程度の重量しかなく、正常に発育することはできません。しかし、コストとしては普通の卵と同じ受精卵1個分のコストがかかっています。たとえば本来20個の卵を持っていたとしたら、すべて平たい卵を重ねて産んでしまうと、すべて正常に発育しても10匹の幼虫しか育ちません。1個を無駄にしてしまう形になるのです。
つまり、この昆虫は寄生蜂の存在を感知して、最大限の子孫を残す最適な方法を採用して産卵しているのだと考えられます。

寄生蜂の存在を感知する能力もすごいし、それにも増して卵の形を意のままに変えてガードするって・・・昆虫ってやつは簡単に想像を超えてきますな。

<Reference>
[1] Deas, J. B., & Hunter, M. S. (2012). Mothers modify eggs into shields to protect offspring from parasitism. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 279(1730), 847-853.

http://rspb.royalsocietypublishing.org/content/279/1730/847.short

2015年1月7日水曜日

科学記事雑感:妊娠は欲求を変える?(ヤマカガシ:Rhabdophis tigrinus)

夫婦の間に子供ができたとき、おなかの中で直接子供と接している妻は子供に栄養を与えることができますが、旦那側はといえばほとんど何もできません。
貢献できているとするならば、せいぜいが苛立つ妻のサンドバッグになり、精神安定に寄与するくらいでありましょうか。
 さて、我が家のかみさんによると、妊娠した女性は味覚が変わったり、食に対する欲求が変わったりするのだそうですが、この現象は人間だけではなく他の動物でもおこるようです。

ヤマカガシ(Rhabdophis tigrinus)というヘビは、通常は水田や草地、河原などに生息し、そこに生息するカエルを食べて生息しています。ところが、最近発表された論文によると[1]、妊娠(といっても産むのは子供ではなく卵ですが)したヤマカガシのメスは、盛んに山地に出かけるようになり、普段の生息場にはあまりいないヒキガエルを選択的に食べるようになるというのです。さらにこの論文では、妊娠時のメスは、妊娠していないメスおよびオスと比較して明らかにヒキガエルのにおいを好むようになるという実験結果が示されています。



それでは、なぜこのような変化が起きるのでしょうか?
ヤマカガシは毒ヘビなのですが、自分で毒を造りだすことができません。彼らが持つ毒は、ヒキガエルのもつ毒から摂取したものなのだそうです。それでは、卵から出たばかりの子供のヘビはどうかというと、ちゃんと毒をもっているようです。ただし、これは親が妊娠中にヒキガエルを食べていた場合に限った話です。親がヒキガエルを食べていない場合は、毒を持たない子供が生まれるとのことが知られています。毒のない子供も、毒を与えればすぐにストックができるようなのですが、生まれたばかりの子供ではヒキガエルを食べることはできません。
つまり、妊娠中のヤマカガシによるヒキガエルの積極的な摂取は、自力でヒキガエルの毒を摂取できるようになるまでの武器として、子供に毒を与えるための行動ではないかといわれています。

人間はともかく、ヤマカガシのメスには管理栄養士がいるわけでもなく、教えてくれる何かがあるわけでもないでしょう。きっと、そうしなければならない強い欲求が生じるのだと思われます。
振り返って人間の場合、欲求に対して素直に動きすぎると過剰に太ってしまったり、ひいては妊娠中毒症のようにあまりいい結果に結びつかないようです。これは、ヤマカガシと違ってわれわれの周辺の環境が、欲求が満たされやすい状況にあるためでしょう。ヤマカガシの場合は、欲求にしたがって行動、探索してこれを満たす。一方の我々は、過剰な達成を避けるために欲求をセーブする。
うーむ、生物としての達成感はヤマカガシのほうが高そうだけど・・・まぁ、欲求が満たせないときのイライラ感は一緒なのでしょうかね。

<Reference>
[1] Kojima, Y., & Mori, A. (2015). Active foraging for toxic prey during gestation in a snake with maternal provisioning of sequestered chemical defences. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 282(1798), 20142137.

http://classic.rspb.royalsocietypublishing.org/content/282/1798/20142137.short

科学記事雑感:使用法の進化(デンキウナギ:Electrophorus electricus)

魚を調査する道具に、電気ショッカーという漁具があります。
文字通り水中に電流を流す道具で、感電して動けなくなった魚を片っ端から捕獲できる極めて効率の良い漁具です。

しかし、この道具にしてもけっして万能なわけではありません。
たとえば、大きな川や湖など、広い水面で使用すると魚は当然電気の届かない範囲に逃げてしまいます。また、水中を泳ぎまわる魚は、感電するとおなかを上にして水中を漂うのでわかりやすいのですが、石の下や泥の中に潜んでいる魚はそううまくはいきません。
こうした魚は、もともとが水に浮きにくい体の構造をしており、感電しても見つけにくい場所で動かなくなってしまいます。場合によっては、石の間をコロコロと転がりながら流れて行ってしまったりもしてしまいます。要するに、魚を感電させることができるこの強力な道具にしても、うまく使わなければ逆に非効率になってしまうこともあるのであります。

さて、アマゾン川に生息する有名なデンキウナギ(Electrophorus electricus)も、電気ショッカーと同じように小魚を感電させて捕えます。
この魚の発する電気は600Vもの電圧、場合によっては馬を感電死させるほどのものですです。
しかし、高電圧は極めて短時間しか持続しません。そのため、餌をとる時には小魚に接近し、この高電圧を1秒間の間に400回ほどの頻度で連続して発します。これにより、小魚を感電させ、身動きができない状態にしてから捕食するわけです。




そんなデンキウナギでありますが、最近、発する電気は単に小魚を動けなくするというだけではなく、捕食に際してより効果的に使われていることが明らかになりました。
昨年発表された論文によると[1]、このウナギ、小魚の動きを止める連続の高電圧を発する前に、2~3回程度の小数回の電気を発するそうです。この電気は、小魚の筋肉につながる神経に働きかけて"けいれん"を起こし、さらには、このけいれんが起こす水中の振動を、小魚の居場所を知る情報として使っているというのです。
なお、論文内に紹介されている実験によると、小魚が見える場所にいてもけいれんが起きない場合はアタックせず、逆に電気と無関係にけいれんによる振動を起こした場合は小魚へアタックするとのことでした。

考えてみれば、普通の川であれば水草や石をはじめ、水中にはいろいろなものがあって、いつでも他の魚が見える状態にあるわけではありません。加えて、アマゾン川であれば水も濁っていて、視界も悪そうです。相手の居場所が視覚でわからないのであれば、”遠隔操作で相手を動かして場所をつかむ”というのはきわめて合理的な方法なんでしょうね。強い力を持っている生き物に対しては、どうしても力の強大さに目が行きがちですが、力の使い方も相応に進化しているものだといえそうです。

Reference
[1] Catania, K. (2014). The shocking predatory strike of the electric eel. Science, 346(6214), 1231-1234.
http://www.sciencemag.org/content/346/6214/1231.short