2014年4月29日火曜日

産卵行動体験記 ウグイ 7:繁殖の収斂進化?

ウグイ(Tribolodon hakonensis)の放卵放精の画像、映像を確認していると、改めて思ったことがあります。


雌雄ともに産卵期になると赤黒くなって、体中に追星が出てサメ肌になる。それでもって、雨後に大集団で瀬に集まって産卵する。
なんだか同じような特徴を持つ魚がいるような・・・そう、アユです。アユの産卵時にとても似ているように思えるのです。
アユも産卵期には雌雄問わず赤黒い婚姻色を呈し、体表が硬化し、さらには雨後に大集団で同じようにぐしゃぐしゃと産卵します。特にこの写真の真ん中のたち上がっている個体なんて産卵時のアユそっくりのフォルムに見えました。

アユとウグイは分類的にはかなり遠い位置関係にあります(あくまでも魚の中での話ですが)が、産卵時には同じような瀬の小礫環境を好むという点で共通しています。
2種の産卵行動を見る限り、こうした環境で産卵する魚はなるべくして赤黒の婚姻色や体表面の硬化、大集団の産卵といった特徴を持つようになったように見えます。
いってみれば、繁殖の収斂進化(※)とでもいうべきでしょうか。

どうして彼らがこのような特徴を持つようになったのか、この謎を直接解く方法はちょっとわかりません。しかし、繁殖行動を観察することでヒントを掴めそうな魚種には心当たりがあります。
それはエゾウグイです。
エゾウグイはウグイと近縁で、形態も酷似しており、繁殖期以外は種を判別することすら困難です。
ところが、繁殖期になると一目瞭然。
ウグイが派手な赤黒の婚姻色を呈するのに対して、エゾウグイはほとんど婚姻色が出ません。きっと彼らには婚姻色を出さなくてよい理由があるはずです。
裏を返せば、産卵環境、行動の差を見ればウグイが赤い理由も少しは見えてきそうです。

そんなわけで、今、エゾウグイの産卵が見たくて仕方がありません。
本州で見ようと思うとかなり場所探しが大変だしなぁ、、、見るならやっぱりどこにでも生息している北海道だろうなぁ。。。
しかし、産卵は雨次第なので、ちょっと行って見られるような種でもなく、打つ手がない。
一年くらい北海道転勤にならないかなぁ…なんて思ってみる今日この頃でした。

※収斂進化:複数の異なるグループの生物が、同様の生態的地位についたときに、系統に関わらず身体的特徴が似通った姿に進化する現象(例:鳥とコウモリ)。

4 件のコメント:

  1. 北ではなく、東に向かえば見られるかもしれませんヨ。

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  2. 4と6、チャンスは2日あるので1日目で十分な成果が出れば狙ってみるのもありですかね。でも、美深泊なのでちょっと北よりすぎましょうか…

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    1. 東は今日現在2日続けて雨なので、4日には充分トリガー引かれているでしょう。尤も6日も雨模様のようですが。例の映像撮影日は去年の5/4でした。

      〉美深泊なのでちょっと北よりすぎましょうか…

      いやいや、2010年はそれより長い距離ワシ往復しましたがな。
      気合、気合。

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    2. 4日は夕方に名寄で打ち合わせがあることを考えると、東はやはりリスキー、というか、実働時間が短くなりそうです。
      やはり行くならば6日ですね。近い未来にお電話します!

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