2014年4月28日月曜日

産卵行動体験記 ウグイ 5:放卵・放精と卵食個体の役割

ウグイの放卵放精はマルタと同じように、3~5個体程度の集団で行われていました。
しかし、放卵放精をしている集団のほかに、後ろに頭から突き刺さってくる個体がたくさんいました。こうした個体はマルタではあまり見られません。

最初に見た激しい水しぶきの正体は、水上にでた彼らの尾が生み出したしぶきだったのです。

頭を集団の中に突っ込んでいる様子から見て、彼らはおそらく卵食個体だと思われます。
放卵放精に参加する個体ならば頭より排泄口を集団に近づけるでしょう。


さて、卵食という放卵放精した集団にとっては迷惑に見えるこの行動。
逆説的なのですが、動画、写真を見ているうちに、どうも彼らの存在は産卵集団にとって必要な存在に思えてきました。


第一に、産卵集団は彼らを追い払うような行動を全くとりません。
卵食がとても迷惑な存在ならば産卵集団にも、もう少し何か対抗策が発達していてもよさそうです。


第二に、卵食個体が突入したときに河床の砂利が突き崩され、それが産卵群の卵が砂利に付着する上で重要な役目を果たしているように見えるのです。動画で見ると、「ジャッジャッ!」という砂利をあさる音がします。
マルタの場合、放卵放精時に産卵集団全個体が水面に顔を出して立ち上がるような行動をとり、この時に尾びれで川底をおこしているように見えます。
ウグイの場合は、マルタよりも体サイズが小さいため自力で川底を掘り起こす力が弱く、卵食個体の力を借りて礫の攪拌を行っているのではないかと思われます。

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