すると、幸運なことに、釣り人達はいません。
午後から天候が崩れる予報だったので、そのせいかもしれません。
ここ数年、春のマルタ釣りがブームとなっている多摩川で、こんなチャンスはまたとない。
「誰も来てくれるなよ!」
そう思いながら河原を走りました。
ヒップウェーダーで川を横断したため、股間部が激しく濡れていきますが、そんなことはまったく気になりません。
転がり込むように現場に向かいました。
「やった!」
周囲には誰もいない。
そっと水しぶきの上がる瀬近づいてみる。
・・・・・近くで見てもしぶきは止みません。
はやる気持ちを抑えきれず、瀬に立ち入り、早速カメラを向けました。
が・・・なんと、こんな大チャンスを前にカメラのシャッターがおかしいではないですか。
ハウジングをつけたままでは、全くシャッターが切れない。
イラついて瀬の中で立ち上がると、目の前で群れていたマルタ達が下流へ散っていきました。
さて、シャッターの不調ですから、カメラをハウジングから取り出して確認しなければなりません。
陸に移動するために、私は川の流心に向いていた体を反転させ、岸向きにしました。
すると、足元からは、また別の群れが散っていきました。
ハテ…?
散っていく魚たちだが、なにやらマルタより少し小さく、赤金色に見える。
「ひょっとして・・・ウグイ!?」
シャッター不良のカメラを手にしながら当惑することしばし、シャッターが切れぬならば…と、動画のスイッチをオン。そのまま川にぶちこみました。
別のカメラを取りにいったん車にもどり、帰ってきてカメラを川から回収。
動画を再生してみると、はたして記録されていたのは、赤黒金に色づいたウグイの産卵群でした。
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